【コロナ禍 事業継続支援金詐取を追う】鹿児島市の対応と見解について(前)
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欲得のために制度を悪用し、国民の血税を自分の懐に入れる─コロナ禍の救済策の一環として国および各自治体が支給している持続化給付金などを、騙し取る事件が後を絶たない。
持続化給付金は事業者(法人・個人)に対して、事業継続を支援する救済策である。コロナ禍による業績急落などにより、資金難に陥ったなど、国および自治体の定める条件に当てはまる事業者に向けて、「正当な手続き=書類」の申請により短期間で資金が給付される。
国および各自治体から資金の給付を受けた資金事業者は、その資金を返還する必要はない。国および各自治体は事業者の事情を考慮し、相応のスピード感で資金の振り込みに対応している。そのため、書類および申請内容についての真偽の確認は、事業者側の良心に委ねているのが現状だ。
6月下旬、当社に1件の情報が寄せられた。内容は、事業継続支援金詐取についてである。
詐欺事件の被害者は、鹿児島市にある法人格の事業者(以下、甲社)。甲社代表はA氏から「コロナ対策の給付金を申請します」という提案を受けて、制度の詳細をわからぬまま了承して、甲社の法人実印をA氏に預けた。するとA氏は、甲社代表がまったく知らない間に法人口座を開設しており、2020年7月に鹿児島市に対して「鹿児島市事業継続支援金」の申請を行い、鹿児島市より30万円が同年8月に前述した口座に振り込まれた。A氏は、振込の確認後に全額を引き出して、自らの懐に入れた疑いがある。
甲社代表および関係者がA氏の不審さに気づき、内部調査を実施した。A氏は甲社代表が知らぬ間に口座を開き、鹿児島市に対して事業継続支援金の申請を行い、支援金が振り込まれたにもかかわらず、甲社代表は、A氏から法人実印を預けること以外の一連の話は一切知らされていなかった。つまり、A氏が自らの一存で実行したのだ。
甲社代表の代理人は「甲社代表は、給付金の制度があることすら知りません。口座の存在も同様であり、30万円の現金を見たこともないと証言しております」とコメントしている。代理人の話が事実であれば、A氏は制度を悪用して事業継続支援金を詐取した疑いがあるということであるが、甲社は現在、A氏と連絡がなかなかとれない状況にあるようだ。
甲社代表、関係者、代理人3名が鹿児島県警に相談したところ、「同様の案件は多数起こっているため、仮に告発を受理しても、捜査に相当時間がかかります。鹿児島市に一度相談を行っていただけないでしょうか」と提言されたため、3名は、「鹿児島市事業継続支援金」を担当する鹿児島市産業局産業振興部・産業支援課を訪問した。
前述した経過と事実関係を説明して、A氏に対する告発を依頼したところ、鹿児島市側は「我々は、申請された書類を確認して適正であることを認定したため、申請を受理して給付を実行しました」と主張し、告発を拒んだ。
(つづく)
【河原 清明】
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