山口FGは生き残れるか?
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某全国紙はこのほど、「山口FG会長解任の舞台裏」という見出しで、山口フィナンシャルグループ(FG)の前代表取締役会長兼CEO・吉村猛氏(現・取締役)の解任劇に関する記事を掲載した。「同社・社外取締役が適切なガバナンスを効かせた」と指摘し、解任された事情を分析している。
一方、吉村氏の愛人問題については明確に報じていない。吉村氏は女性行員と愛人関係となり、彼女を社内の重要ポストに置いた。さらに、愛人が「この事業やりたい」と求めれば、言いなりになって新規事業を立ち上げた。上場会社のトップとしての品格が問われるとともに、企業の私物化は許されない問題である。愛人問題こそが解任劇の本質とも言える。愛人問題に関する多くの情報が出ていたなか、取材すれば事実関係を確認できたはずだ。某全国紙は、なぜ愛人問題を正面から取り上げなかったのだろうかという疑問も残る。
(一社) 全国銀行協会のホームページには、「経済活動と銀行の役割:経済社会を血液のようにめぐるお金。『人』『企業』『国・自治体』は、お金の流れが止まれば活動がストップしてしまいます。銀行は『人』『企業』『国・自治体』などにお金という血液を送り込む心臓のような存在といえます」と明記されている。愛人のご機嫌取りにうつつを抜かしてきた吉村氏は、本来はたすべきそうした銀行の役割を意識したことがあったのだろうか。
今後注目されるのが、同社は地方銀行として生き残れるのかという点。一部では「吉村氏の力はまだ残っている。影響力はある」という分析もあるが、吉村氏のバンカー人生は終わったとみられる。もし、吉村氏の“院政”が可能ならば、同社の自浄作用は崩壊していることになり、企業としての存亡の危機に陥るのは必至だ。
新たに代表取締役社長兼CEOに就任した椋梨敬介氏は、「吉村の傀儡」とも言われている。もし、椋梨氏が吉村氏の操り人形であれば、やはり同社は存亡の危機に陥ってしまうだろう。しかし、「たしかに椋梨は吉村の子飼いの1人であったが、頭はいい。経営手腕は未知数だが、少なくとも吉村の言いなりにはならない」というのが、長年同社をウオッチングしてきた地元経済アナリストの見立て。椋梨氏のお手並み拝見となりそうだ。
その一方で、解任された吉村氏の子飼いであった椋梨氏が、トップとして指揮を執るのも事実。そのため、はたして同社の企業風土は変わるのかという疑問もある。
同社が再建を図るためには、これまでの経緯や人脈とは無関係の人物をトップとして外部から招聘する必要があるだろう。ゼロから出直す覚悟があるならば、再建のチャンスも生まれるのではないか。
【特別取材班】
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