本命は?~候補者乱立の横浜市長選(前)
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小此木氏の出馬で状況が一変
菅首相のお膝元の横浜市長選(8月8日告示・22日投開票)で候補者が乱立、本命が絞り込めないカオス状態と化している。すでに立候補を表明したのは8名。これに出馬濃厚の林文子市長と、「出馬に意欲」(7月13日の神奈川新聞)と報じられた前・神奈川県知事の松沢成文参院議員(日本維新の会)を加えると10名となり、誰が有利なのかが予測困難な状況なのだ。
菅政権の閣僚だった小此木八郎・前国家公安委員長が6月25日に「カジノ取り止め」を掲げて出馬表明をするまでは、「自公推薦のカジノ推進候補 対 野党系のカジノ反対候補」という与野党激突の構図となり、世論調査ではカジノ反対が多いため野党有利とみられていた。
しかし、小此木氏の登場で状況は一変した。6月29日に出馬会見をした山中竹春・横浜市立大学教授(立民推薦)に流れるはずの反カジノ票が目減りする一方、自主投票となった自民党が小此木氏を全面支援すれば、有利とみられた山中氏が盤石とは言い難い状況になってしまうのだ。
その後も、7月7日に元検事の郷原信郎弁護士、翌8日にも元長野県知事で作家の田中康夫氏が反カジノの立場で出馬表明。2人とも野党色が強いため、これも山中氏にはマイナス要因になるのは確実だ。
そんななかで注目されるのが、カジノ誘致反対の象徴的存在である「ハマのドン」こと藤木幸夫氏(ハーバーリゾート協会会長)氏の動向だ。
ちなみに小此木氏の父親の彦三郎・元建設大臣は藤木氏の盟友であり、その秘書を務めていたのが菅首相だ。しかし今は、横浜へのカジノ誘致をめぐって藤木氏は、カジノ推進の菅首相と対立関係にある。そこで小此木氏の出馬会見で、両者の関係改善が狙いなのかと聞いてみた。
「『藤木幸夫さんと菅総理との関係改善のためにカジノ取り止めを急に言い出した』と疑いたくなるが、藤木さんとはどんな話をしたのか」。
小此木氏はこう答えた。
「これはね、そんな簡単な話ではない。私の家と藤木家は私で三代目の付き合いがあるから、あるいは菅総理と45年以上、私が小学校3年生ぐらいからの付き合いになるから、これは兄弟分みたいなものでして、関係をよくご存知のうえで話をしていると思うが、そういうなかであえて申し上げれば、これは微妙な関係というか、面倒くさい関係でありますので、これは相談をしていたら決断はできなかったと思います。ですから誰にも相談せずに出馬を決めました」。
「(藤木氏とは6月)17日に、一番の支援者以上の方でもあるから、まず会社を訪ねた。息子さん、今の社長と話をした。翌日(18日)、藤木幸夫会長とは電話で話をして、私の決意を伝えました」。
(つづく)
【ジャーナリスト/横田 一】
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