2024年12月22日( 日 )

選手村からコロナ村に名称を変更

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「最大のリスクは病床不足。選手村もコロナ村=コロナ培養皿と化すだろう」と訴えた7月22日付の記事を紹介する。

東京汚リンピックは始まる前に終わっている。
完全な五輪終。

東京汚リンピックの開閉会式演出の総合責任者である小林賢太郎氏が過去のコントのなかで
「『ユダヤ人大量惨殺ごっこ』をやろうって言ったとき」
と表現していた。
このコントはいまもネット上で閲覧できるもの。

過去のことであるが、現時点まで撤回も謝罪も贖罪もないもの。
過去のことと切り捨てることはできない。
過去の発言を「切り取ったもの」の表現にもあたらない。

ナチスによるユダヤ人大量虐殺の悲劇を笑いのネタにしたもの。
当然のことながら世界的に問題視される。
五輪組織委は22日付で小林氏を解任した。

開会式は23日に予定されている。
開閉会式演出の総合責任者であり、小林氏が担当した開閉会式の演出は使用できない。
従って、開会式は入場、挨拶、聖火点火のみで実施するしかない。
五輪組織委の実力がいかんなく発揮される開会式になる。

事態を打開する唯一の方法はこれ。
大会を中止することだ。

五輪組織委のこれまでの成果は華々しい。
大会エンブレムの盗用から始まった。
五輪スタジアムのデザインも差し替えられた。
五輪組織委の森喜朗会長の女性蔑視発言、逆ギレ会見で森氏は引責辞任に追い込まれた。

引責辞任に追い込まれた森喜朗氏がその後も五輪界隈に出没すること自体、組織委がまったく反省していないことの表れ。

渡辺直美氏の容姿を侮辱する演出案を提案したことが発覚して佐々木宏氏が引責辞任に追い込まれた。
開閉会式の演出を担当していたMIKIKOは組織委から何の連絡もないまま担当から外されていた。

楽曲を担当した小山田圭吾氏は過去の犯罪的ないじめ行為をインタビューで得意になって発言したことについての批判を受けて辞任に追い込まれた。
そして、開会式前日、演出総合責任者が解任された。

組織委員会の武藤敏郎事務総長は各種人事が丸投げであったことを認めた。
恐らく組織委が電通に丸投げし、電通は電通の感覚ですべてを仕切ってきたのだろう。
これらの関係者がすべて男性であることも多様性の視点から理解しがたい。

人権意識も多様性を尊重する発想も皆無。
小山田氏にしろ、小林氏にしろ、解任は不可避。

「おもてなし」とアピールしてきたが、その真意は「裏ばかり」ということ。
そもそも五輪招致が不正な賄賂によって獲得したものだから、表に見せらない「裏ばかり」は想像に難くない。
メンバーの名前を表に出すだけですべてが崩壊する。

菅義偉氏が
「やめることは一番簡単なこと、楽なことだ。
挑戦するのが政府の役割だ」
と語ったと報じられている。
不可思議な発言。

菅首相は4月23日の会見で
「東京五輪の開催はIOCが権限をもっています」
「IOCは開催することを決定しています」
と繰り返し述べた。

「IOCに権限があるから日本政府が中止にはできない」
と言っていたのではないか。

菅首相の認知能力に重大な問題があると推察される。

「挑戦するのが政府の役割」なら、権限をもつIOCと交渉し、国民の命と健康を守るために中止を決断させることが「挑戦する政府」のあるべき行動だ。
いずれにせよ、23日開会式の演出なしを早期に確定すべきだ。

東京オリパラの招致委員会および東京都が提出した東京五輪立候補ファイルにこう記された。
「この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」

全国各地で、連日猛暑日が報告されている。
かつ湿度が極めて高い。
この条件下で「最高の状態でパフォーマンスを発揮できる」アスリートは皆無に近い。

さらに、日本には台風が襲来する。
台風6号が沖縄付近に停滞している。
非常に強い勢力に発達して大きな被害をもたらすことが懸念される。

それだけではない。
台風8号、9号、10号が本土に接近する恐れがある。
東京五輪を直撃する可能性すら存在する。

8万人規模の選手、関係者、メディアが海外から日本に入国する。
その検疫体制がザル対応。
かつ、入国した者に対する検査体制もザルだ。

立憲民主党が明らかにしたが、組織委は外部には公表しない「内部マニュアル」を保持していた。
外部に出してはいけない部外秘の「内部マニュアル」。
この「内部マニュアル」に検査の骨抜きが定められていた。

選手と関係者以外のレベル2の対象者に対しては実行するとしている検査を目こぼしにすることが記載されていた。
やはり「表なし」=「裏ばかり」。

五輪選手村で相次いで陽性者が確認されている。
選手村がダイヤモンド・プリンセスと化す。

濃厚接触者であっても試合6時間前検査で陰性なら試合に出られるとしたことに科学的根拠があるのか。
濃厚接触者は一度の検査で陰性でもその後に陽性になり得るから2週間の隔離期間を定めたのではないのか。

サッカーの試合で接触しても15分以上、至近距離で会話をするわけではないから「濃厚接触者」にはならないとするが、リスクの所在をまったく踏まえない論議。
15分以上至近距離に位置しなくても、接触の際に、飛沫に触れる可能性があるなら感染リスクはある。

サッカーやレスリングの試合では、そのリスクが非常に大きい。
本質を考慮せず形式的な定義で判断することが根本的な誤りだ。

L452R変異株により、日本における感染が爆発的に拡大している。
7月22日からの4連休に感染拡大地から全国各地に大規模な人流が発生する。
五輪開催を強行し、歓迎パーティーを開催しながら行動抑制を求めても誰も聞く耳をもたない。

酒類を提供し、深夜まで営業する飲食店に客が集中し、罰則がないなら、多数の事業者が酒類提供、深夜営業に走る。
そのことを誰も止められない。
五輪を契機に日本のコロナは重大局面を迎える。

最大のリスクは病床不足。
新規陽性者数の急激な拡大により、病床不足が顕在化する。
入院できず放置され、死に至る者が続出することになる。
選手村もコロナ村=コロナ培養皿と化すだろう。

さらに、7月25日以降、台風が列をなして日本列島を直撃する恐れがある。
コロナに加えて台風惨禍が五輪を直撃する。

菅義偉氏の五輪終宣言が遅れれば遅れるほど被害は甚大になる。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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