山口FGの吉村猛会長の再任を否決~その真意を検証する (2)
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山口FGの株主総会が開催された6月25日、椋梨敬介社長は午後6時から記者会見を報道機関に連絡したが急遽だったこともあり、個社対応のため会見は深夜まで続いたという。
椋梨社長は、株主総会後に開催された臨時取締役会で吉村猛会長兼CEO(最高経営責任者)を解任し取締役に降格させ、椋梨社長がCEOに昇格したと発表した。
山口FG吉村会長兼CEO解任の背景について
◆複数の関係者によると、吉村氏解任の直接のきっかけは、吉村会長が取締役会に報告せずに2018年に業務提携したアイフル(株)と共同出資でリテール(小口業務)専門の新銀行の設立を計画。・吉村氏はコンサルタント会社の提案を丸のみするだけでなく、コンサル会社代表本人が銀行トップに就き、親族も雇用する計画だったため、「情実的なプロジェクト」と問題視されたからだという。
・コンサルト会社とは、2021年5月21日付のNet IB Newsに掲載された「山口FGの吉村猛会長に対する「内部告発状」を検証する (3)」のオリバーワイマングループ(株)であり、新銀行のトップに吉村氏と親しい同社日本代表パートナーの富樫直記氏だったことが、吉村氏解任の動きに拍車をかけたと見られる。ただ、収益面で反転を目指す吉村氏は、リテール部門立て直しの切り札と位置づけ、水面下で交渉を進めていたと見られる。重要な交渉案件であればあるほど、どのタイミングで取締役会に報告するかの「舵取り」が難しい局面であったのは間違いないようだ。
【表1】を見ていただきたい。株主総会後の臨時取締役会で決まった新布陣である。
~この表から見えるもの~
◆議長席に座った吉村会長が1号議案として、吉村代表取締役会長兼CEOの選定、ならびに椋梨代表取締役社長の選定を諮ります」と発言すると、1人の社外取締役が手を挙げて吉村氏と椋梨氏選定の採決を分けるように提案。
◆これを受け、吉村氏はまず自らの選定について「賛成の方は挙手をお願いします」と呼びかけた。オンラインも含めて出席した取締役10人のうち挙手が確認できたのは吉村氏だけだったという。
・社外取締役7名のうち新任は山本謙氏と三上智子氏の2名。留任取締役は5名。そのうち1人の社外取締役が挙手して吉村氏のCEOの留任に待ったをかける発言をしたのは、顔ぶれから見ると、佃和夫氏と推測される。
・佃氏が山口FGの取締役(監査等委員)に就任したのは15年6月。吉村氏が山口FG代表取締役社長兼山口銀行頭取に就任したのは1年後の16年6月。佃氏を取締役に指名したのは吉村氏の前任の故福田浩一社長。
・社内取締役の福田進取締役監査等委員(常勤)は16年6月に就任しており、佃氏と福田氏の2名だけが吉村氏の指名を受けていない取締役である。<まとめ>
山口FGにとっては、『実録 頭取交替』に続くクーデター事件である。二度あることはその経営体質が変わっていなかったという証左でもあるようだ。
吉村猛氏が東京出張の際に利用するホテルは、ザ・プリンスパークタワー東京。社外取締役の佃氏も利用していたといわれる。佃氏が吉村氏のCEO解任を求めた裏には、まだまだ深い謎が隠されているといっても、過言ではないのではないだろうか。【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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