北九州空港の滑走路延長計画でパブリック・インボルブメント(PI)実施
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北九州空港(北九州市、京都郡苅田町)の滑走路を現在の2500mから3000mに延長する事業について、関係自治体と国(大阪航空局、九州地方整備局)でつくる北九州空港施設計画検討協議会は計画の概要を公表し、意見募集や説明会、パネル展示などで住民の合意形成を図るパブリック・インボルブメント(PI)を16日までの予定で実施している。
北九州空港は2006年3月開港。周防灘の沖合3kmにある海上空港で、騒音の住宅地への影響がほとんどなく、九州・中国地方で唯一の24時間利用可能な空港だ。18年度の利用者数は国内線が144万人、国際線も主に韓国路線の旅客増で35万人といずれも過去最多を記録した。また、電子機器や自動車部品、半導体などの製造業が集積する北部九州に位置するため、貨物空港としての発展も期待されている。
しかし、滑走路の長さが2500mでは利用に制約が生じる。航空機は滑走路の長さによって積載重量が決まることから、北米や欧州便など搭載燃料を多くする必要がある長距離路線では搭載貨物量を減らさなければならず、このことが貨物定期便や貨物チャーター便の就航機会を逸する要因となっている。九州・西中国地域内の北米・欧州との航空貨物の輸出入空港は、その多くが成田、羽田、関西など遠方の空港となっている。九州の工場から製品を成田空港へ陸送して輸出する場合、北九州空港までの陸送と比較して輸送料金は約6倍、輸送時間は約12倍となり、経済的損失は大きい。
滑走路延長により北米・欧州への貨物定期便などの就航が可能となれば、輸送コスト削減や輸送時間短縮の効果がある。また、国際旅客便についても北米・欧州にとどまらず世界の都市への長距離旅客便の就航が可能となる。これらのことから、滑走路延長は荷主企業や関連企業、物流関連企業の業績向上につながり、雇用拡大や消費活動の増加など地域経済への波及効果を高めることが期待される。
滑走路延長計画の概要は(1)現在の滑走路2500mを500m延長して3000mとする、(2)新たに海域の埋め立てが必要のない南側に延長する、(3)誘導路、航空灯火、ILS(計器着陸装置)施設などを整備する――など。現在、国が環境影響評価(環境アセスメント)を進めており、その終了時期は未定であるが、着工から約4年後に供用を開始する。事業費は滑走路、誘導路などの基本施設のほか航空灯火工事などを含めて計約130億円を見込む。
同協議会は上記の内容をまとめた「PIレポート」を作成し、インターネット上で公表。7月15日から8月16日まで、はがきやインターネットでの意見を受け付けるとともに、説明会を開催して直接住民の声を聴き、また各公共施設などパネル展示会場にも意見記入用紙と回収箱を設置する。「PIは公共事業の透明性を向上させ、住民との情報共有や合意形成を図ることを目的としている。計画の内容を確認し、意見を寄せてほしい」(同協議会)としている。
【山下 誠吾】
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