【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(58)~地下鉄ネットワークの整備構想(3)
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
前回、福岡市の地下鉄ネットワークについて、3路線(空港線、箱崎線、七隈線)あるものの、いずれも東西方向にしか伸びていない問題を指摘した。しかし、現状の福岡市地下鉄が抱える課題は、それだけではない。
まず1つ目は、七隈線の整備計画において、天神駅と博多駅につなげなかったことである。一応、七隈線・天神南駅と空港線・天神駅の間は、天神地下街を通って乗り継ぐことができるものの、約550m離れているため利用者にとっては非常に不便で、中途半端なネットワークといえる。
なお、22年度には天神南から博多駅まで延伸・接続される予定であるが、天神と天神南がつながる計画は今のところないようだ。2つ目は、福岡市内にある大規模スポーツ施設の「福岡PayPayドーム(福岡ドーム)」と「ベスト電器スタジアム(博多の森球技場)」への地下鉄アクセスがないということである。
PayPayドームは、プロ野球団・ソフトバンクホークスのホームグラウンドとして使われており、試合の開催時は約3万8,000人が集中する。一方、試合の終了後には一気に人があふれ出て、西鉄バスの臨時便を使ったり、タクシーを利用したりするなど、毎回混雑に見舞われる。そうしたなか、地下鉄利用者は最寄りの唐人町駅まで約1kmの距離を、約15分かけて歩いて移動しなければならない。
一方の福岡市博多区にあるベスト電器スタジアムも、J1・アビスパ福岡や地元ラグビーチームのホームグラウンドとして利用されている。いずれも人気で、試合時には約2万人の移動があるにもかかわらず、現地には直結した地下鉄がなく、PayPayドームと同じ状況が何年も続いている。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。法人名
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