【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(60)~4路線を新設した地下鉄ネットワークの整備構想
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
今回、福岡市の地下鉄ネットワークを充実させていくことを検討するにあたって、主に南北路線と環状線の新設、大規模スポーツ施設への連絡、現路線との乗り換えアクセスなどを中心に考えている。本来であれば、西区および東区(アイランドシティ含む)方面までの路線も検討すべきであるが、まずは現状の課題をクリアするための路線配置とした。以下が、今回提案する新設4路線の概要である。
【ピンク色】(仮称)新空港アクセスライン
以前に一度提示したことがあるが、博多駅から大深度地下トンネルを通って、新空港島へ直接アクセスする路線である。博多駅~新空港間の約16kmをほぼノンストップで行き来するシャトル便とすれば、平均時速80kmで走行したとしても約12分しかかからない。
【赤色】(仮称)長尾月隈線
現在の福岡空港駅から先を延伸し、ベスト電器スタジアムを経由して、月隈・板付・那珂・大橋・野間・長住を通って、地下鉄七隈線・七隈駅につなげる路線である。空港線や七隈線と合わさることで、大規模な環状線が形成される。これにより、南区の住民は、現空港方面へのアクセスが容易になるほか、大橋駅で西鉄天神大牟田線に乗り換えすることも可能になる。
【黄色】(仮称)南北環状線
PayPayドームと、柏原(南区)とを南北に結ぶ路線をメインに、大濠西から警固・薬院大通り・平尾浄水・高宮浄水・野間・野多目・屋形原などをつなぎ、片江に戻ってくる環状線である。六本松や薬院大通りで七隈線に接続するほか、野間や長尾で(仮称)長尾月隈線にも接続している。
【紫色】(仮称)福岡タワー線
(仮称)南北環状線と同様に、PayPayドームを起点に西側ルートの南北線となる。福岡タワー・原・福岡歯科大・四箇田団地・室見が丘団地を結ぶほか、途中の藤崎で空港線と、加茂で七隈線に接続することで、東西方向への移動にも留意している。
これら4路線と、既存の3路線(空港線、箱崎線、七隈線)を合わせることで、現状の福岡市の地下鉄ネットワークが抱えている課題――とくに「地下鉄難民エリア」をある程度は解消できるものと考える。
ただし、冒頭にも述べている通り、西区や東区では「地下鉄難民エリア」が依然として残されており、これでもまだ十分ではない。その点については、今後も新たに検討を重ねていく必要があるだろう。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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