
今回は、AIと人材について考えてみます。AIを使っていると、同じツールを使っているのに、伸びる人と伸びない人がはっきり分かれる気がします。むしろAIによって、人の差は縮まるどころか、広がっていくのではないでしょうか。
よくいわれる「2:6:2の法則」──上位2割は、AIでさらに学び、さらに伸びる。真ん中6割は、まだわからない。下位2割は、むしろ落ちる。AI時代はこうなる気がします。
まず上位2割は、AIから出てきた答えをそのまま使いません。出てきた施策やアイデアを見て、「これは何の型なのか」「自社に置き換えるとどうなるのか」「再現性のあるフレームワークにできないか」と考えます。つまり、AIの“答え”で終わらせず、自分の頭のなかで構造化していくのです。AIから出てきた情報を、自分の頭脳のなかにフォーマット化していく。AIを使うたびに、作業が早くなるだけでなく、自分の思考の型が増えていくイメージです。
もう1つ、AIで伸びる人には内観的な要素があります。AIとの質問や対話を、哲学的に繰り返す人です。「なぜ自分はそう考えるのか」「なぜこの事業をやるのか」「なぜお客さまは動かないのか」「なぜ社員に伝わらないのか」――こういう問いをAIに投げながら、自分自身を発見していく。AIを検索ツールとしてではなく、自分の考えを掘る壁打ち相手として使うのです。
すると、今までバラバラだった経験や感覚がつながっていきます。「これは同じ構造だ」「うちの強みはここだったのか」「この施策は商品ではなく、人を動かす企画に変えないといけないのか」といった発見が起きる。AIを使っているようで、実は自分と対話している。この使い方ができる人は、かなり伸びると思います。
逆に伸びにくい人は、ショートカットばかり求めます。怒られたから謝罪文をつくる。売れないから営業文をつくる。採用できないから求人文をつくる。もちろん、それもAIの便利な使い方ではあります。ただ、それだけだと自分の頭はあまり鍛えられません。
「なぜ怒られたのか」「なぜ売れないのか」「なぜ採用できないのか」「なぜ相手は動かなかったのか」。ここまで掘らずに、表面だけを整えても、また同じ問題が起きます。
真ん中の6割は、正直まだわかりません。AIを便利な道具として使い、業務効率化にはつなげるかもしれない。でも、それを自分の成長や事業の進化にまでつなげられるかは、人によって分かれると思います。
AI時代に伸びる人は、AIを使ってラクをする人ではない。AIを使って、学び、構造化し、内観し、自分の思考を深くする人です。便利な道具をもった瞬間に、思考をサボるのか。それとも、思考をさらに鍛えるのか。ここで、かなり差がつく気がします。
<プロフィール>
山本啓一
(やまもと・けいいち)
1973年生まれ。大学に5年在学し中退。フリーターを1年経験後、福岡で2年ほど芸人生活を送る。漫才・コントを学び舞台や数回テレビに出るがまったく売れずに引退。27歳で初就職し、過酷な飛び込み営業を経験。努力の末、入社3年後には社内トップとなる売上高1億円を達成。2004年、31歳でエンドライン(株)を創業。わずか2年半で年商1億2,000万円の会社に成長させる。「エッジの効いたアナログ販促」と「成果が見えるメディアサービス」でリアル店舗をモリアゲる「モリアゲアドバイザー」として、福岡を中心として全国にサービス展開中。

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