【経営者事業魂の明暗(1)】コロナに負けず経営理念を貫く~宮田学園・宮田総長
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コロナ来襲で日本語学校は青息吐息
学校法人宮田学園を引っ張る宮田道郎総長は意気軒昂である。「コロナ蔓延で同業者の経営は非常に苦しい。あと半年、この状態が続けば学校を閉じるところも続出するであろう」と語る。昨年2月からの新型コロナウイルス蔓延で留学生の入国が困難となった。2年にわたって学生の入学がスットプしたら、どこもお手上げである。
窮地を脱することのできる学校法人は本物の組織だけ。本物とは「正しい経営理念を実践している学校」となる。あまりにも安易に日本語学校を立ち上げたところは淘汰されるだろう。
宮田学園は日本語学校や国際貢献専門大学などを運営し、ピーク時には総学生数1,500人を超え、西日本一の規模を誇った。ここまで拡大できたのは、宮田総長の指導力と、理念・使命感の徹底的な実践によるものだ。
「将来的に世界を舞台として日本と母国の懸け橋となり、国際貢献を担える人材育成」に一心不乱に邁進してきたからである。言い換えると「学生たちを厳しく教育・指導し、企業側から食指される人材を育成する。学生たちの就職先を徹底的に斡旋して面倒をみる」ことを妥協せずに実行してきた。
現状に満足すれば淘汰の道しかない
「日本へ留学するブームに便乗して金儲け優先を目論んでいた連中は、コロナによって藻屑に成り下がるのは宿命。こんな輩は眼中にない」と喝破する。「問題なのは、それなりに儲け、貯えに成功した同業者の経営姿勢である」と指摘する。
「留学生たちが日本へ押し寄せるブームを背景として、多少真面目に運営していれば日本学校経営は利益を得るのが容易であった。ところが今後、日本へ押し寄せるようなブームが続くとは考えられない。市場として魅力に溢れるライバル国は増えてくる。我々は選ばれる立場に転落するであろう」と語る。この見解に賛成したい。なぜなら、日本の国力の劣化は顕著であるからだ。
ところが、それなりに儲けた大半の日本語学校経営者は現状に満足している。「今さら辛い思いをして新規事業への挑戦はしたくないし、リスクを被りたくない」という保守的な姿勢に終始している。人間は、飯が食える(企業経営が黒字になる)までは必死になる。貯えを得て将来の見通しが立つようになると、この環境が永続するものと勘違いし、未来への布石を打つことをさぼるようになる。大半の人間の性根は怠慢そのものなのであろう。
コロナ蔓延で8割を占める凡人が学ぶ結論は「コロナのせいで我々は苦労している。収まればまた平穏な生活が戻ってくるであろう」、それに対して2割の才気溢れる人が学ぶ結論は「コロナは我々にいつなんどき、不幸が襲ってくるかもしれないこと(不意に落とし穴に落ちる事態)を教えてくれている。それゆえ、経営のリスクを減らすために、日々たゆまずに布石を打っていこう」というものだ。
経営理念・使命感を貫く
宮田氏にも苦い挫折の経験がある。農業専門の4年制大学の申請許可が得られなかったことだ。本人が号泣したのを筆者は初めて目撃した。
宮田氏は「本当に国際貢献ができる人材育成は4年制大学でしかできない」という信念の持ち主である。「このくらいでくじけてたまるか」と毎朝自分に言い聞かせるのが習慣となっている。有言実行の宮田氏は密かにビッグプロジェクトを練り上げている。
「経営理念、使命感を叫ぶ経営者たちは、世の中にごまんと存在している。しかし、具体的に実体化した人たちは少ない。簡単に誰も彼もが尊厳のある存在になれるものでもない」と強調する。
「なぜ、そこまで頑張るのか?」と質問を投げかけた。即座に「それは子どもたち3人から尊敬される親父になりたいから」と至極当然の回答を得た。総長には1男2女の子どもたちがいる。3人ともまもなく社会人となる。長男は医学部6年生で、医師国家試験を控えている。「お父さんから疲れたという言葉を聞いたことがない」と言われたときに、「息子から常日頃、見られているのか」と驚いた。
長女の言葉にも驚いた。「おじいちゃん(宮田氏の父、学校校長経験者)を見習って私も教育者になりたい。宮田学園を引き継いてもよいかしら」と漏らした。宮田氏のビジネス人生の最終目標は、3人の子どもたちから「お父さんは最後までよく頑張ったよね」と感謝と尊敬の言葉を贈られることである。
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