2024年11月20日( 水 )

横浜市長選結果と今後の政局

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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「菅義偉氏のおひざ元である横浜市長選で小此木八郎候補が惨敗したことが菅降ろしの号砲になる可能性は著しく高まった」と訴えた8月22日付の記事を紹介する。

8月22日に実施された横浜市長選で、菅義偉氏が総力を挙げて支援した菅内閣現役閣僚であった小此木八郎氏が落選した。

菅義偉氏は小此木八郎氏の父である小此木彦三郎元通産相の住み込み秘書を経て横浜市議に当選して政界への進出をはたした。
小此木八郎氏は側近中の側近。
昨年9月の首相就任以来、失態が続く菅義偉氏にとって、横浜市長選での支援候補落選は致命傷になる可能性が高い。

菅義偉氏が首相に就任以降、主要な選挙で菅内閣与党は敗北を続けてきた。

1月24日 山形県知事選
3月21日 千葉県知事選
6月20日 静岡県知事選
4月25日 北海道、長野、広島国政三選挙
7月4日  東京都議選
のすべてで菅自公が実質的敗北を重ねてきた。

東京都議選は自民党が都議会第一党を確保したが獲得議席数は歴代第2位の少なさだった。
内閣支持率が多くの世論調査で危機ラインの30%を割り込んだ。
NHK調査でも29%になった。
支持率が3割を割り込んだ内閣は10カ月以内に崩壊するのがこれまでの経験則。
菅首相退陣が秒読み態勢に移行している。

菅義偉氏の自民党総裁任期は9月末で完了する。
他方、衆議院任期は10月21日で、次期衆院総選挙がいつあってもおかしくない状況。
菅義偉氏は衆院総選挙を先行させ、衆院での自民党過半数を維持して自民党総裁選での無投票再選を狙ってきた。

そのために、最後のよりどころにしたのが東京オリパラ。
東京オリパラ開催を強行して国民をお祭り騒ぎに巻き込み、その余勢で衆院総選挙を乗り切ろうとした。

コロナについてはワクチン接種が国民の4割に到達すれば感染が急速に抑制されるという不確かな情報に基づき、8月末での緊急事態宣言解除を前提に進んできた。
しかし、この強気の行動も完全に裏目に出た。

菅義偉氏は常に強気に自分の判断を押し通す。
そして、常に失敗する。
連戦連敗のギャンブラーである。

昨年11月にはGotoトラブル事業を強硬に維持して感染第3波の悲劇を招いた。
昨年12月には英国変異株N501Yを甘く見て感染第4波を激烈なものにした。
そして、本年3月にはインド変異株L452Rを甘く見て感染第5波の爆発を招いた。
7月には五輪開催を強行してペルー変異株F490Sの国内流入を招いた。
今後、F490S変異株が重大な悲劇をもたらす可能性がある。

すべてにおいて、根拠が不確かな判断をゴリ押しして大失態を演じる。
このことが繰り返されてきた。

ワクチン接種はコロナ収束の切り札にはならない。
逆に、コロナ接種で極めて多くの人命が失われ、極めて多くの人が重篤な状態に陥れられている。
ワクチン薬害問題が重大問題に発展する可能性は極めて高い。

菅義偉氏は自民党総裁、首相の地位にとどまり、次の衆院選に臨むことを目指しているが、衆院選の前に自民党総裁選が実施される場合、再選されない可能性が高まっている。

自民党総裁選は党員投票を含むフルスペックの選挙になる。
派閥の論理で、国会議員票で多数票を獲得する可能性はあるが、党員投票をコントロールすることはできない。
党員票で菅氏得票が著しく少なくなれば国会議員票も雪崩現象を起こす。

9月12日に緊急事態宣言を解除して自民党総裁選が告示される9月17日の前に衆院を解散する、あるいは9月26日を投票日とする任期満了選挙を自民党総裁選告示前に確定してしまう可能性が残されているものの、菅内閣支持率が3割を切るなかでの衆院選強行に自公が猛烈に反発することは間違いない。

菅義偉氏のおひざ元である横浜市長選で小此木八郎候補が惨敗したことが菅降ろしの号砲になる可能性は著しく高まった。
立憲民主党と日本共産党の共闘によって山中正春氏が勝利したことも次期衆院選に向けて極めて重要だ。

いよいよ2021政治大決戦が本番を迎えることになる。

※続きは8月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「横浜市長選結果と今後の政局」で。


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