2024年11月22日( 金 )

【読者からの投稿】救命から苦痛緩和へ~医療従事者の苦悩

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 今月16日ごろから、長期の治療をすれば治る可能性があった患者さんに「これ以上は厳しいです」と話して、その2〜3日後に治療から撤退し、救命をあきらめて苦痛を取るというかたちにシフトし始めているという医療現場の声を聞きました。

 病床は常に満床で、患者の選別を行わざるを得ない状況だといいます。基礎疾患があったり、BMI(肥満度)が25を超えていたりする人が、早期にワクチンを打っておくことが新型コロナの一番の予防になるようです。

 数カ月前、NHKでコロナ禍のイタリア(おそらく第1波)のドキュメンタリー番組を見ました。医療従事者は、まさに「救命をあきらめて苦痛を取るというかたち」しかできない状態になっており、精神的にかなり追い詰められて時折感情を抑えられずに涙ぐみながら状況を説明していました。そして巷では「病院に行ったら生きて帰れない」という噂が伝わり、自宅療養を選ぶ人が増えていきました。コロナにかかって酸素濃度が落ちた祖父のために、孫がコロナで亡くなった人がいる家庭を訪ねて、「残っている酸素ボンベ」をかき集めている様子も伝えていました。

 当時、日本は感染が落ち着いていたので、「対岸の火事」のような気持ちで見ていたのですが、今まさに同様の状態になりつつあります。医療従事者の方々の精神状態が心配です。

 そうした時に、「コロナ患者受け入れ拒否なら病院名公表」を強いる政府の医療従事者への敬意のなさには憤りを感じます。

 厚生労働省と東京都の新型コロナ患者の受け入れ要請に従わなければ病院名を公表することについて、メディアで報じられた医療関係者のコメントを紹介します(他記事から引用)。

 「もうなんか、燃え尽きかけてきている医療従事者にとどめを刺しに来ましたね」。
 「今入院している患者さんを追い出して病床をつくろうが、感染拡大を止めないと焼け石に水なんですよ。1年半、命がけで頑張ってきた医療従事者をスケープゴートにするんですね」。
 「今大事なことは医療機関への制裁ではなく支援です。コロナ感染爆発を引き起こした責任を医療機関に押し付けるのですか?最悪の責任転嫁。許せません」。
 「専門分野の診療は縮小して…給料は減って…家族との時間も減って…飲み会や会食どころか外食や私用の外出も完璧に自粛して…ただひたすら自宅と病院を往復して…さらにコロナ(患者)を受け入れろって」。

 医療従事者に「ありがとう」と言いつつ、一方では後ろから首を絞めている感じがします。何だかおかしな状況になってきていると感じざるを得ません。

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