小売こぼれ話(4)神さまのクレーム(前)
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スーパー店頭のゴミ箱
かつては、ほぼすべてのスーパーマーケットの入り口に大型のゴミ箱があった。そんなコンビニやスーパーのゴミ箱の泣き所は家庭ゴミの投入だった。法的にいえば不法投棄だが、ゴミ箱を1日中監視するわけにもいかない。残された手段はなくすか、投入口を小さくするかだ。
そもそも、スーパーやコンビニのゴミ箱は公共施設ではない。しかし、店で買い物をするお客はそこを半ば公共施設とみている。分別規制がなかった時代には、空き缶から紙おむつまで多種多様な廃棄物がそこに捨てられた。
ゴミ箱はあっという間に満杯になる。満杯になると、お客はその周辺に平気で投棄していく。それを見た一般のお客からゴミ箱の管理ができていないとの小言が届く。そのたびに店は処理に走る。持ち込みを注意するPOPを付けても結果は変わらない。「いつも買い物をしてやっている店」のゴミ箱であり、家庭ゴミを捨てても罪の意識が薄いからだ。
対策はただ1つ、ゴミ箱をなくせばいい。しかし、それができない。店舗入り口にはゴミ箱があるのが当たり前という常識の罠だ。だから禁止POPを付けることぐらいしかできない。しかもやんわりと。
そのうち分別の流れも手伝って、店頭からゴミ箱が姿を消した。今はペットボトルなどの資源プラゴミ、瓶や缶などの不燃物、そして可燃物の分別ボックスを設けている店が大部分だ。その結果、家庭からのゴミ持ち込みはほとんどなくなった。しかし、セルフガソリンスタンドや高速道路のサービスエリアは今でもそんなお客の行為に頭を痛めている。
お金を払っているから許される?
小売店に付きものなのはクレームだ。バッゲージクレーム。空港で旅客が預けた手荷物を受け取る場所をいうが、店舗へのクレームはそれが語源だ。店舗に文句を付けて、何らかの物品を受け取ることをいう。
クレームには、まっとうなものと理不尽なものとがある。あるスーパーマーケットでの出来事だ。加工食品のゴンドラに隣り合ってペットフードを売っていた。いわゆる普通の売り場である。
クレームは、人間の食べ物と動物のそれを一緒に売るとは何事だというものだった。こんなクレームは対処のしようがない。丁寧に詫びて他社の店に行ってもらうしかない。
(つづく)
【神戸 彲】
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