【自民党総裁選】発信力アップの枝野代表が乱入 河野大臣の隠蔽体質を一刀両断
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次期総選挙での政権交代に向けてスイッチが入った枝野幸男代表
月1回の定例会見など発信力不足が指摘されてきた立憲民主党・枝野幸男代表が“変身”、連日のように会見を開いて週末には地方遊説も繰り返すなど、次期総選挙での政権交代に向けてスイッチが入ったようだ。
自民党を一刀両断にする戦闘力もアップ。9月22日には、東京16区の水野もとこ予定候補の集会で演説。総裁選で党員支持率トップの河野太郎・行革担当大臣の隠蔽体質を、以下のように批判したのだ。
「急に海外から入るワクチンの量が予定より少ないから自治体に渡すワクチンの量を大幅に減らすと言い出したでしょう、総裁候補の人(河野太郎大臣)。
ちゃんと聞いたのです。『これは、いつからわかったのか』と。ゴールデンウィーク前からわかっていたのです。2カ月くらい隠していたのです。国民に隠しただけではありません。実際のワクチンの窓口になっている市区町村にも黙っていたのです。
それで、急に減りました。そのため、渡すワクチンの量が減りました。実際、大混乱になりました。その反省がなく、そのお詫びから始めていただかなければならないと思いますが、皆さん、いかがですか(拍手)。こんないい加減なことをやったのに、この人(河野氏)にコロナ対策ができると思いますか」。
自民党の広報宣伝機関に成り下がったワイドショー
立憲民主党・福山哲郎幹事長は9月21日の会見で、「本当ならば枝野代表を“5人目の総理候補”としてあの方(4候補者)たちと議論することが、日本の政治には不可欠」と提案した。安倍・菅政権のコロナ対策を追認してきた4候補だけでは本格的論戦には至らず、枝野代表の参戦が不可欠と訴えたのだ。
要するに大メデイアは4候補によるコップのなかの議論にとどまらず、立場が異なる枝野代表も論戦に参加できる方法で報じるべきなのだ。なかでも総裁選を連日のように実況中継するワイドショーは、自民党の広報宣伝機関に成り下がったに等しく、平公正や多角的論点提示を定める放送法違反の疑いさえあるのだ。
ちなみに、台湾やニュージーランドやオーストラリアで成功している「ゼロコロナ戦略」を打ち出す枝野代表は、ウィズコロナ政策を続けてきた安倍・菅政権を厳しく批判。先の集会で次のように訴えていた。
「(コロナ感染拡大から)まもなく2年。本当に忸怩(じくじ)たる思いです。野党というのは実現できることはありますが、与党が頑として動かないと、なかなか物事を進められません」「『ゼロコロナ』という話が出ました。ゼロに本当になるのかに関わりなく、ゼロを目指すのは当たり前ではないでしょうか。『交通事故ゼロを目指す』『火災ゼロを目指す』。皆、『ゼロ』を掲げて目指しているではないですか。『満員電車ゼロ』などを並べた知事がいましたが、全然、何も前に進んでいません。なぜコロナだけ、ゼロを目指してはいけないのでしょうか。
1年半以上、同じことを訴えてきて、これが命の問題でなければ、『ほら見たことか』と言いたくなります。先ほど『友人のパートナーが急になくなられた』(先に話をした江戸川区議)と。我々国会議員団の場合は羽田雄一郎氏という、私がつい3日くらい前に党の常任幹事会で一緒に仕事をしていた仲間をコロナで失った経験をしています。
私たちが一貫して言い続けてきたこと、1つは水際対策です。これは、いま逆行し、緩めています。日本はもともと緩すぎます。例外的にごく一部の国からきた人だけ、ホテルで缶詰めになってもらっています。しかし原則は『自分でホテルをとって自分の判断でじっとしていてください。日本の方ならば自宅に帰って、じっとしていてください』(という内容)。大部分の人は守っていると思います。でも誰も監視、チェックしていません。守らない人が出るのに決まっているではないですか。こんなザルみたいな国はなかなかありません。
ごく一部の国だけでもホテルで缶詰めにしていましたが、慌ただしい状況に紛れて3日に短縮すると。何をやっているのだという状況です。
私たちは2週間とまでは言いません。10日でいいのです、科学的には。入国したとき、(待機期間の)真ん中頃である10日目までPCR検査をやって、その間だけは国がホテルをとって食事も出して、その代わり、じっとしていてくださいと管理をすることです。そして国内に持ち込まないことです。これがないと、国内でいくら頑張っても、外国から入ってきたら元の木阿弥です。それを何度繰り返すのでしょうか。私たちは、これを1年半言い続けています。
そして検査です。政府、自民党はずっと検査に消極的です。でも、これは酷いことです。東京オリンピックのとき、選手村だけは短い間隔で何度もPCR検査をやっていました。そのため、選手村ではクラスターが出なかったと胸を張っています。もちろん外国から来られた選手村の皆さんを、日本で感染させてはいけません。そのためには、万全を尽くす。当然ですが、同じことをなぜ日本人にやらないのですか。選手村のオリンピック選手だけは守るが、日本人は守らないのですか。
検査を散々やれば、それだけ早く感染を見つけて感染の広がりを抑えられて、それで救える命があります。政府自体、わかっているのです。わかっているのにやらない。(検査に関する)法案を出したのは3月ですよ。ずっとやっていないのです。
そして補償を合わせることです。もう持たないところがたくさん出ています。飲食店だけではありません。週末、新潟に行きました。『コメが売れなくて値下がりをして来年はコメづくりを止めた』という悲鳴が上がっています。業種を問わず、このコロナによる落ち込みで、儲けを出せるとまでは言いません。事業を続けられるように、たとえば、農業であれば、来年の営農を続けられるように、それくらいの補償をしないと社会は成り立ちません。結局、反則をする人が出てきます。そこで感染を抑えられません。正直者がバカを見ます。これは、補償をちゃんとしなかったからです。
この3つ、徹底的にやりましょうよ。そのためには政治を変えないとダメでしょう(拍手)」。
大メデイアは、ウィズコロナ政策を踏襲する自民党4候補の論戦だけでなく、大きく異なる枝野代表が提唱するゼロコロナ戦略もセットで紹介し、判断材料を国民(有権者)に示すべきだ。これが、放送法が定める多角的論点の提示になることはいうまでもない。
先の集会演説で枝野代表は、コロナ対策について次のように締めた。
「しっかりと命と暮らしを守ります。私たちが言ってきたことを実現できていれば、ニュージーランドや台湾のようにできていたのかはわかりませんが、こんなに多くの皆さんの命、そして多くの皆さんが倒産や廃業になる状況は食い止められたと自信をもって言います。ぜひ政治を変えようではないですか。私たちにはそのための準備ができています。具体的な提案があります。実際にどうやって第六波を抑えるのですか。自民党には何の案もありません。そのことを、自信をもって訴えていきたいと思っています」。
発信力と戦闘力がともにアップした枝野代表の訴えを、自民党の広報宣伝機関へと成り下がったようにみえる大メデイアがどこまで公平公正に紹介するのか。これも、総裁選の投開票日(9月29日)までの注目ポイントの1つといえる。
【ジャーナリスト/横田 一】
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