【衆院選2021】アベノミクスと決別 枝野幸男代表と山本太郎代表が共同歩調
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新自由主義的なアベノミクスから決別
野党共通政策で合意した立憲民主党の枝野幸男代表とれいわ新選組の山本太郎代表が消費税減税と富裕層・大企業への課税強化で一致、総選挙に向けた経済政策で足並みをそろえている。富める者がますます富む新自由主義的なアベノミクスから決別、格差是正で国民全体の底上げをしようとしているのだ。
枝野氏は9月21日に党内のアベノミクス検証委員会の報告書を受け取った後、記者会見に臨んで「アベノミクスは失敗」と総括した。そこで筆者は「この結果を受けて消費減税と富裕層への課税強化、金融(資産)課税を強化することを目玉政策として打ち出していくと理解していいのですか。この結果を全国各地でプレゼン、シンポジウムのような形で発表する考えがあるのですか」と聞くと、枝野代表はこう答えた。
「前者についてはその通りです。後者については、選挙戦が事実上始まっているため、その選挙戦などを通じて全国各地の仲間がこれを上手く活用して、我々の政策を分かりやすく伝えていくことに活かしていきたいと考えています」
9月17日の本サイト記事「消費減税の共通政策化で山本太郎氏が野党共闘に復帰~河野太郎氏に衆院選で切り込みか」で紹介した通り、立民・共産・社民・れいわの4党は9月8日に消費減税も含む野党共通政策に合意したが、野党第一党の立民自身も率先して「消費税5%減税」を目玉政策として掲げ始めたのだ。2019年夏の参院選以降、「消費税減税が野党共闘(選挙協力)の条件」と訴え続けた山本代表が枝野代表と連携、消費減税否定の自公政権を倒す態勢が整ったともいえる。
水野もとこ予定候補の集会でアベノミクスを批判
参院選直後から山本代表は北海道を皮切りに全国遊説ツアー(街頭記者会見)を開始、時には衆院選予定候補と並んで消費税減税を含む政策を訴えてきた。コロナ禍で中断を余儀なくされて、事前告知なしのゲリラ街宣に切り替えたが、枝野代表も総裁選が本格化した頃から各地での遊説を繰り返すようになった。9月11日には都内、18日と19日は新潟、そして20日には千葉という具合。いずれの演説も、総選挙向けの政策発表と予定候補の応援を兼ねたような内容だった。
9月22日には、水野もとこ予定候補(東京16区)の集会に駆け付けた枝野氏は、「第二次安倍政権が出来て9年間で、いろいろなものが壊されてきた」と切り出し、次のようなアベノミクスを批判した。
「強い者をより強くすれば、いずれその豊かさがみんなのところに行く。株価が上がれば、そのうち経済全体が良くなって、みんな潤うはずだ。もう9年経っています。良くなりましたか。なっていないではありませんか。時代遅れになっているのです。
いま強い者がより強くなると、真ん中くらいの人がどんどん弱くなっていきます。格差が定着をしています。そのため、景気が良くなりません。私は自信を持って、もう一つの経済政策として(行いたい)格差の是正が景気対策、経済対策なのです」「お金がなければ、どんなにいいモノやサービスを売れるはずがありません。年収100万円、150万円(の方)、若い人を中心に非正規の方がたくさんいます。どんなに安くていい自動車を売り出しても、お金がなくてローンも組めないから売れるはずがないでしょう。こういう貧困と格差を正していきます」「景気対策で人為的に人件費を下げてきた経済対策は時代に逆行しています。貧困を減らし、格差を是正し、老後や子育てや雇用の安心を高める。これこそが今の時代の最大の経済対策、景気対策だと私は自信を持って訴えます」。
ちなみに山本代表も全国各地で開いてきた街頭記者会見で、数々の特典による法人税減税を問題視、その取り止めで消費税減税ができると主張。富裕層ほど税率が低くなる優遇税制についても、金融所得課税の強化によって是正すべきとも訴えていた。
消費税減税と富裕層・大企業への課税強化を目玉政策にアベノミクスからの転換を呼びかける点では、両代表の主張はぴったりと一致している。加えて、自民党は消費税減税を否定しているため、野党との違いは鮮明だ。枝野代表と山本代表が今後、“全国遊説行脚”を通して国民(有権者)の関心の高い経済政策をアピールすれば、政権交代の気運が高まっていくのは確実だろう。総選挙に向けた与野党の攻防から目が離せない。
【ジャーナリスト/横田 一】
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