世界約90カ国で空前の大ヒットを記録~韓国ドラマ「イカゲーム」(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
大ヒットの理由は
「イカゲーム」のファン監督はアメリカ留学を経験したこともある実力派監督である。同作品は、ファン監督がシナリオを描き、演出も担当している。この作品も映画「パラサイト」同様、シンプルでありながら、社会に対する問題意識を提起している。
ドラマのなかでは、6つのゲームが展開されるが、韓国人にとっては馴染み深いゲームなので懐かしく、外国人は好奇心をそそられるようなゲームばかりである。
このドラマは、とにかくストーリーのテンポが速く、視聴者を飽きさせない。子どものゲームなのに残虐で、一見シンプルに見えても、多くの暗喩を含んでいることも、このドラマの特徴だろう。6つのゲームはどれも子どもの遊びだが、命と大金をかけて繰り広げられるゲームのなかで、さまざまな人間ドラマが描かれており、社会の縮図という感じがする。
「ダルゴナブーム」を引き起こす
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コンテンツ大国になりつつある韓国(前)筆者は幼い時にアメリカの映画をみて育ち、アメリカの文化、生活様式にあこがれていた。映画で描かれるアメリカの豊かさは、私と同年代の多くの人々の記憶に残っていることだろう。
今回の「イカゲーム」の大ヒットは、ドラマに登場するダルゴナ(カルメ焼き)の販売量を急増させている。韓国のネットショッピング「Gマーケット」によると、ダルゴナの販売は前月対比で270%も伸びたという。劇中で使用されている緑色のジャージと白い靴も飛ぶように売れているそうだ。その他に「イカゲーム」の人気が出ることによって、各種グッズの売上が急激に伸びているようだ。
ネット使用料で提訴、ネットフリックス
ネットフリックス社は韓国で、ネットワーク使用料の支払いをめぐってSKブロードバンド社に提訴されている。NetflixはGoogleに次いで韓国では2番目にネット使用料が多い会社である。昨年第四半期のトラフィックの占有率は韓国全体の4.8%に達している。にもかかわらず、ネット使用料をめぐってネットフリックスは分相応の支払いに応じず、提訴されている。それに、今回のように「イカゲーム」が世界的な大ヒットになったものの、ネットフリックス社が制作料を全て負担したため、一定以上の収益になると、全てネットフリックスの収益になるような契約になっているようだ。
ネットフリックス社は「イカゲーム」に2,140万ドル(約24億円)ほど投資し、株価の上昇などで28兆ウォンくらいの収益が発生したという。ドラマ制作から収益の配分まで全体を俯瞰したビジネスモデルの早期確立も韓国では求められている。
「イカゲーム」の人気は今後も続き、世界的な大ヒットになりそうだ。
(了)
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