2024年11月23日( 土 )

九州地銀(17行)の2021年9月期(中間)決算を検証する (4)

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【表1】は九州地銀の2021年9月期(中間)の貸出金・預金残高順位表である。
(1)九州地銀の金融グループ(FG・FH)の貸出金・預金残高(連結)順位表
~この表から見えるもの~
◆2021年9月期の貸出金残高1位はふくおかFGで、前年比▲3,260億円の16兆8,259億円(同比-1.9%)。傘下の親和銀行と十八銀行が2021年10月1日に合併し十八親和銀行が発足。合併により長崎県内のシェアが独占的となるため他行へ移管したことが大きな要因。
・2位は西日本FH。前年比+579億円の8兆4,721億円(同比+0.7%)。
・3位は九州FG。前年比+1,852億円の7兆7,057億円(同比+2.5%)。
・ふくおかFGのシェアは51.0%。西日本FH25.7%、九州FG23.3%でふくおかFGのシェアが圧倒的に高いことがわかる。
◆総預金残高(預金+譲渡性預金)の1位もふくおかFGで、前年比+9,559億円の19兆7,142億円(同比+5.1%)。
・2位は九州FG。前年比+5,421億円の9兆8,794億円(同比+5.8%)。前年は3位。
・3位は西日本FH。前年比+4,757億円の9兆8,232億円(同比+5.1%)。前年は2位。
・ふくおかFGのシェアは50.0%。九州FGは25.1%。西日本FHは24.9%。ふくおかFG>西日本FH+九州FGとなっており、ふくおかFGが圧倒的に優勢な状況にあることが読み取れる。
◆預貸率が高いのは西日本FHで86.2%。ふくおかFGが85.3%。九州FGが78.0%。北九州銀行を傘下に置く山口FGは78.3%となっている。

(2)九州地銀(17行)の貸出金・預金残高順位表
<貸出金残高順位について>
◆貸出金残高1位は福岡銀行。前年比▲971億円の11兆1,431億円(同比-0.9%)。シェアは25.7%。
・2位は西日本シティ銀行。前年比+560億円の8兆2,477億円(同比+0.7%)。シェアは19.0%
・3位は十八親和銀行。前年比▲4,062億円の3兆9,460億円(同比-9.3%)。要因は2020年10月1日に親和銀行と十八銀行が合併して十八親和銀行(継承銀行は親和銀行)が発足したことによる。20年9月期の親和銀行の貸出金は1兆9,999億円で18行中7位。一方吸収合併された十八銀行は2兆3,523億円で5位。十八親和銀行の20年9月期の貸出金はその合計。シェアは9.1%。
・4位は肥後銀行。前年比+1,212億円の3兆9,451億円(同比+3.2%)。シェアは9.1%。
・5位は鹿児島銀行。前年比+787億円の3兆8,411億円(同比+2.1%)と同じグループの肥後銀行との差が広がっている。シェアは8.9%。
・6位は宮崎銀行。前年比+446億円の2兆1,672億円(同比+2.1%)。シェアは5.0%。ここまでが貸出金残高が2兆円を超えている。
・7位は佐賀銀行。前年比+346億円の1兆9,902億円(同比+1.8%)。シェアは4.6%。
・8位は大分銀行。前年比+484億円の1兆9,296億円(同比+2.6%)。シェアは4.5%。
・9位は熊本銀行。前年比+1,764億円の1兆8,836億円(同比+10.3%)と大幅な増加。シェアは4.3%。
・10位は北九州銀行。前年比+286億円の1兆2,712億円(同比+2.3%)と微増となっている。ここまでが1兆円超えの銀行。シェアは2.9%。以下シェアは省略する。
・11位は南日本銀行。前年比+48億円の5,883億円(同比+0.8%)。
・12位は筑邦銀行。前年比+48億円の5,358億円(同比+0.9%)。
・13位は宮崎太陽銀行。前年比+124億円の5,259億円(同比+2.4%)。
・14位は福岡中央銀行。前年比+41億円の4,279億円(同比+1.0%)。
・15位は豊和銀行。前年比+44億円の4,139億円(同比+1.1%)。
・16位は長崎銀行。前年比+54億円の2,656億円(同比+2.1%)。
・17位は佐賀共栄銀行。前年比+23億円の1,976億円(同比+1.2%)。下位行は厳しい状況にあるのがわかる。

<総預金残高について>
◆総預金残高の1位は福岡銀行。前年比+7,141億円の12兆6,728億円(同比+6.0%)。福岡銀行だけが10兆円を超えている。
・2位は西日本シティ銀行。前年比+4,606億円の9兆5,937億円(同比+1,5%)。
・3位は十八親和銀行。前年比1,919億円の5兆5,139億円(同比+3.6%)。要因は貸出金と同様に合併によるもので3位に割って入っている。
・4位は肥後銀行。5位鹿児島銀行。6位大分銀行。7位宮崎銀行。ここまでが2兆円以上。
・8位佐賀銀行。9位熊本銀行。10位北九州銀行。ここまでが1兆円以上となっている。
・11位筑邦銀行。12位南日本銀行。13位宮崎太陽銀行。14位豊和銀行。15位福岡中央銀行。16位長崎銀行。17位佐賀共栄銀行。7行が1兆円以下となっている。

<預貸率について>
◆九州地銀17行の預貸率平均は80.9%。これを超えている銀行は6行。下回っているのは11行。
・預貸率が100%超えるオーバーローは熊本銀行で116.7%。長崎銀行101.8%で第二地銀2行。いずれも金融グループの傘下銀行。一方、70%を下回っているのは大分銀行で57.2%。筑邦銀行は65.2%と第一地銀の2行となっている。

<まとめ>
新型コロナウイルスの感染拡大にともなう地域経済の低迷で九州地銀(17行)の21年9月の貸出金は前年比+1,234億円で+0.3%と微増。総預金は前年比+2兆6,410億円で+5.2%。銀行にとって貸出金が低迷している今は、「コストのかかる預金はいらない」というのが本音のようだ。

【表1】九州地銀の2021年9月期の貸出金・預金残高順位表
【表1】九州地銀の2021年9月期の貸出金・預金残高順位表

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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