2024年12月22日( 日 )

日本経済の衰退で縮まった日韓の経済格差(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

悪循環に陥っている日本経済

日本 デフレ イメージ 懐具合が悪くなると少しでも節約するようになるため、日本では100円ショップが繁盛している。さらに、給与が下がると良い人材が集まらなくなり、国家の競争力が落ちる恐れもある。

 かつて日本はアニメ王国であったが、中国の会社が日本よりも高い給与を提示し、日本の人材が中国の会社に流出しているという。給与水準が下がると、実際に社会全体にいろいろな影響が出てくる。

 企業はコロナ禍などの影響で給与をアップすることができず、むしろ給与を下げているが、その結果、消費も委縮するという悪循環に日本は陥っているようだ。財務省によると、日本の個人消費は2000年以降の20年間で58兆円も減少した。GDPの大半を占める個人消費が減っているため、日本のGDPが伸び悩むのは当然の結果かもしれない。

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 日本では給与が上がらず、むしろ下がっている。このため、物価も下がるという状況にある。世界の物価水準を比較する際によく引用されるマクドナルドの「ビッグマック」の価格からも、日本の物価がいかに安いのかがよくわかる。1990年に370円だったが、現在は390円である。30年間、価格はほとんど上昇していない。

 一方、米国では「ビッグマック」は2.2ドルから5.7ドルに、中国では8.5人民元から22.4人民元に上がっている。黒田東彦日銀総裁はインフレ目標を2%に掲げ、量的緩和を実施したが、日本では物価は上がらず、デフレ圧力がかかっている。

日本が韓国に追い抜かれるようになった理由

 今でも日本は基礎科学において韓国よりかなり進んでいる。日本では24人のノーベル賞授賞者がいるが、韓国のノーベル賞受賞者はゼロである。

 しかし、製造業などの分野では、日本は韓国に追い抜かれている。製造業の競争力を分析して国別の順位を決めるCIP(Competitive Industrial Performance)によると、90年代は日本が2位、韓国が17位だったが、2018年には韓国は3位に上がり、日本は5位に順位を落としている。

 なぜ韓国が日本を追い抜くことに成功したかというと、時代の流れであるデジタル化に韓国はうまく乗った一方、日本はデジタル化に乗り遅れたからだろう。日本が強かったアナログの世界では徹底した品質管理がものをいうが、デジタルの世界ではスピードが勝敗を決する。

 完成度が低くても取りあえず挑戦し、修正していくことが求められるのがデジタルの世界である。しかし、日本人は過去にとらわれ、完璧主義に徹したため、デジタル化の波に乗り遅れ、製造業でも韓国に敗れる結果となった。現在は製造よりも販売が大事な時代であるが、韓国人は販売においても日本人より性格的に向いているような気がする。

 日本は莫大な国家債務と高齢化が重荷となり、今後の展望も明るくない。とくに、世界の工場である中国の競争力は目を見張るほど強くなっていて、日本も韓国も将来を楽観できない状況にある。このような時期にあるだけに、日韓両国は協力し合って将来に備えるべきではないだろうか。

(了)

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