自民・泉田衆院議員が告発した裏金要求問題を追う(後)
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【注目発言4(大仏様ポーズ後)】
泉田裕彦氏:「先生、ちゃんと寄付できるときに言ってくれればいいのに、どうしたらいいのですかね」。
星野伊佐夫氏:「この話はもう早くいえば、●●(泉田氏の秘書の名前)の耳にも入れてはならない。あんた1人。1人の腹、1人の腹にして、そして、そして信用できる人を使う。あんたの信用できる人。誰にも言ってはダメ、これは、この話は」。
泉田氏:「でも、まかなければいけないのでしょう」。
星野氏:「まくというのはばらまくのではない。実力者、地区地区の。たとえば、A地域では●●さんですよ、渡すのは」。泉田氏が寄付可能な時期を問題にしているのは、選挙の投開票が近い期間だと「政治活動費だ」と言って渡しても買収資金と見なされる恐れがあるためだ。
そこで自民党本部は、政治活動費を寄付する場合、買収資金と見なされないために選挙の3カ月前までとの期限も定めて通達していたと泉田氏は会見で説明。星野氏と面談したときに、「ちゃんと寄付できるときに言ってくれればいいのに」と泉田氏が寄付可能期間外と指摘したのはこのためだ。
【注目発言5(寄付の時期をめぐり)】
泉田氏:「広島で(河合夫妻の買収事件が)あったばかりでしょう」。
星野氏:「そんなことをいえばきりがないのだから。そんなもの話は表面の話なの。絶対ダメだよというのは当たり前。裏は、みんなそういう世界なのだから」。「小千谷、北大沼と細かくやらないで、信用できる人だけにな」。泉田氏は会見でこのやりとりを紹介した後、こう補足説明した。「『信用できる人にまとめて渡せ』ということを言われました。私から寄付禁止期間に入っているので困るのですねという話をしました」。
会見ではこうも強調していた。
「総選挙で裏金要求をされました。文脈でいうと、払わなければ選挙に落ちるよというふうなことでありました。ただ広島で事件があったばかりで、本当にこんなことがあるのかなと思ったのですが、配ってしまえば、違法ですので、配ることができないということでお断りをしました。そうしたら選挙は本当に大変だった」、「お金で票を買うという行為は民主主義の根幹をねじ曲げてしまうことだと思います。選挙において金銭要求をしていく。これは、民主主義の土台を歪めていく。放置してはいけないというふうに考えています」。
泉田氏は記者会見で星野氏との面談内容を話す前に、自民党新潟県連に対応を求めていた。しかし、県連会長の高鳥修一衆院議員(新潟6区で落選・比例復活)は、「真贋をするので証拠はあるのか」との質問に泉田氏がイエスと答えたのにもかかわらず、音声データを聞くこともせず、「県連としては一切関わらないという結論になります」と告げて真相解明を拒否したというのだ。
泉田氏の会見で筆者は、岸田首相の後ろ向きの姿勢と関連づけて、次のような質問をした。
――岸田首相は広島買収事件を受けて再発防止、二度と起こらないようにすると言っているなかで、こういうことが起きたことをどうお感じになっているのでしょうか。
泉田氏 民主主義の基本。代議制というのはまさに選挙が国民の意志を決定する極めて重要なプロセスなわけですので、こういうことは本当にあってはならないというふうに思っています。
――岸田総理、茂木幹事長、松野官房長官から「どうなっているのだ」「こんなことは許されない」といった問い合わせがあっても不思議ではないと思うが、何か(問い合わせは)あったのでしょうか。
泉田氏 内部ガバナンスのお話なので、ご容赦いただきたいと思う。
――(岸田首相らは)何らかの発信や問い合わせをすべきではなかったかという、ご自身の個人的な考えを聞きしたいのですが。
泉田氏 すみません。内部ガバナンスについてはご容赦いただきたい。
岸田自民党の内部ガバナンスはすでに機能不全の状態にあるのではないか。安倍・菅政権時代から続く「政治とカネの“闇”については真相解明をしない」という隠蔽体質が温存されたままとしか見えないではないか。今後、泉田氏の告発や野党の追及に対して岸田政権(首相)がどう対応するのかが注目される。
(了)
【ジャーナリスト/横田 一】
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