日本の個人投資家が買い支えるアメリカのワクチンメーカーの株価
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、2021年12月24日付の記事を紹介する。日本ではオミクロン株の登場を機に、ワクチン接種の3回目が推奨されるようになってきました。一方、ワクチン接種の先進国と目されるイスラエルでは国民の多くが3回目の接種を完了したにもかかわらず、感染が収まらないため、保険健康省から「永久的にワクチン接種が欠かせない」との警告が発せられた模様です。
イスラエルではすでに4回目の接種が義務付けられています。しかし、保険健康省のワクチン政策委員会のメンバーでイスラエル最大の病院の副院長を務めるエフェック教授によれば、「これからは5回目、6回目、7回目の接種が必要になるはずで、その次に検討の俎上に上るのは永久接種」とのことです。
同教授曰く「もうこれ以上のブースター接種は要らないのでは、と考える人は間違っています。アフリカなどではワクチン接種を済ませているのは少数しかいません。ということは、これからも変異種が生まれるということです。その予防にはワクチン接種が欠かせません」。
こうしたイスラエル政府の「終わりなきワクチン接種の旅」宣言に、最も喜びを隠しきれないのがファイザーのボーラ社長です。すでに莫大な利益を手にしていますが、今後、イスラエルのみならず、世界中で毎年、ワクチン接種が継続されることになれば、天文学的な大儲けになることは間違いないからです。
途上国やWHOからワクチン製造方法を開示してほしいとの要請が相次いでいるにもかかわらず、相変わらず、「知らぬ存ぜぬ」を続けています。最初は1回か2回と言われていましたが、それが3回になり、今や4回、5回では済まず、毎年、死ぬまで、接種が必要ということです。
日本ではまだ3回で止まっているようですが、このままでは、遅かれ早かれ、年中行事のようになるに違いありません。なぜなら、欧米の大手ワクチンメーカーは強大なロビー組織として君臨しているからで、バイデン大統領などは言いなりになっているからです。
実は、オミクロン株が確認されて以降、ファイザーの株価は7.41%上昇しました。同じく、モデルナの株価は13.61%の上昇を記録しています。その結果、ファイザーのボーラ社長やモデルナのバンセル社長ら4人の主要株主の個人資産は52億ドルも急増した模様です。
日本ではほとんど注目されていませんが、ファイザーとモデルナの2大ワクチンメーカーの最大の株主はブラックロックとバンガードというアセットマネジメント会社です。個人の筆頭株主はビル・ゲイツ氏に他なりません。アメリカのアセットマネジメント会社が持つ資金力や影響力は日本人の想像をはるかに超えています。
なぜならこの2社だけで9.1兆ドルの資産を管理し、アメリカの主要企業1600社の実質的なオーナーとして君臨しているからです。マイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベット(Googleの親会社)、IBM、デルなども、この1600社の一部を構成しているに過ぎません。
しかも、この2社はアメリカのメディアをほぼ完全にコントロールしています。タイム・ワーナー、コムキャスト、ディズニーなど90%を超えるメディアの最大の株主として、彼らを傘下に収めているのです。「ニューヨークタイムズ」紙に関していえば、最大の株主がバンガードで、第2の株主がブラックストーンというわけです。言い換えれば、ワクチンに関しても、その安全性や有効性を疑うような記事や論説は掲載されません。
さらにいえば、ブラックロックは1988年にラリー・フィンクによって創業された会社ですが、金融資産管理のソフトウェア開発で実績を上げ、今や200社を超える銀行や証券会社の保有する18兆ドルの資産管理を請け負っているほどです。アメリカの中央銀行的な役割をはたしている連邦準備制度もブラックロックなしには機能しません。
表舞台には登場しませんが、こうしたアセットマネジメント会社がファイザーやモデルナの筆頭株主として影響力を行使している限り、メッセンジャーRNA技術を導入したワクチンは新たな変異株が登場するたびに衣替えを経て市場に投入されることになります。
最近は日本の個人投資家がアメリカ株を簡単に買えるようになりました。スマホの「iSpeed」アプリや自動スイープを使えば、海外の株式、とくに米国株の売買が証券会社を通すことなくできるわけです。2020年から2021年の間だけで、日本人の個人投資家による米国株式への稼働顧客数は3倍に増えています。
そして、日本人が投資するアメリカ株の上位10社を見ると、ファイザーもモデルナもしっかりとランクインしているのです。もちろん、ファイザーもモデルナも筆頭株主はブラックロックとバンガードですが、日本人投資家もしっかりとアメリカのワクチンメーカーを買い支えていることは間違いありません。
とはいえ、イスラエルでは、ワクチン至上主義に反旗を翻す動きも出てきました。テルアビブ大学の研究チームはワクチンに頼らずとも海藻から抽出した多糖類がコロナウイルスの感染を食い止める効果があることを突き止めたと発表したのです。彼らは感染者数が少ない日本人の食生活から多くの示唆を得たと言います。
我々、日本人が意識せずに食している海産物にコロナウイルス撃退のカギが隠されていたという驚きの発見です。まだ、研究の初期段階とのことですが、ピアレビューも終わり、その応用が大いに期待されています。こうした日本発の食生活やライフスタイルに注目した新たな感染症予防薬や治療法に対しての投資に日本人の関心が向くことを期待したいものです。
次号「第278回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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