ビル・ゲイツの進めるフェイクミート株が急落中!どうする?
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、1月7日付の記事を紹介する。皆様、明けましておめでとうございます。コロナ禍で騒がしい限りですが、お元気でお過ごしでしょうか。本年もよろしくお願いいたします。
さて、世の中、何が本当かわからなくなるほど、新たなフェイクニュースが現れては消えていきます。新型コロナウイルスの感染予防の切り札とされるワクチンに関しても、副反応や既往症を悪化させるリスクがあるとの指摘も後を絶ちません。アメリカではファイザーの元副社長を筆頭に医療従事者といわれる人々が内部告発的な情報をSNS上で次々と拡散させています。各国政府も世論を味方につけるため、自分たちに都合の良いようなかたちにニュースを加工して流すことが当たり前になっているわけです。
ところが、それと同時進行で加速しているのが「フェイクフーズ」に他なりません。見た目も味わいも本物の牛肉や豚肉と同じような、大豆などを原料にしたフェイクフーズが市場に広く出回るようになっています。アメリカではマクドナルドやケンタッキー・フライド・チキン(KFC)まで、そうした穀物や植物を加工したお肉のようなフェイクフーズを提供するようになってきました。
日本のスーパーマーケットでも「ビヨンド・ミート」や「インポッシブル・フーズ」というブランド名で売られており、多少値が張りますが、環境にも健康にもプラスとの宣伝が効果を発揮し、売上も順調に伸びています。その背景にはビーガン食に代表されるように、化学調味料など添加物を一切使わず、有機食材を嗜好する人々が増えていることが影響しているようです。
こうしたフェイクフーズ、とくに「代替肉」を後押ししているのがマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏です。同氏に言わせれば、「人間が食する牛だけで、体外に排出するメタンガスは温室効果ガスの4%を占めている。地球温暖化を予防するうえでも、飼育する牛や豚の数を減らすことは欠かせない。人工肉が普及すれば、牛や豚の数を減らすことができ、環境にとってもプラスになる」とのこと。
実は、このような人工肉を製造する技術を応用して、レタスやほうれん草などサラダの材料の野菜にコロナウイルス用のワクチンを注入したGMO野菜がすでに出始めているのです。
ファイザーやモデルナのワクチンに使われているメッセンジャーRNA溶液を野菜に移植することで、日常的に感染対策が可能になると言います。「サラダを食べることで感染予防のワクチン接種と同じ効果を期待できるようになる」との触れ込みです。
カリフォルニア大学リバーサイド校の植物学部のジラルド教授曰く「レタス1本で人間1人に必要なワクチンを生み出せる。レタスの葉にメッセンジャーRNA細胞が含まれているため、これを食べればワクチンを接種したのと同じ効果が期待できる」。
もちろん、レタスやほうれん草に限らず、さまざまな家庭菜園の野菜にも適用できるとのこと。ジラルド教授に依れば、いくつかほかの大学や研究機関とも共同作業を進めているため、その成果は大規模な生産農家にも恩恵をもたらすことになるとまで断言しています。中国由来の「医食同源」という言葉もありますが、正に「食べるワクチン」が市場に間もなく登場するというわけです。
ただし、こうしたフェイクフーズの安全性は賛否両論が拮抗しているのが現実です。具体的にいえば、2021年第3四半期の売上データから判断すると、消費者の「フェイクミート離れ」が確認されます。たとえば、市場をけん引してきた2009年創業の「ビヨンド・ミート」の株価も急落なかです。
一時は「次世代フーズの代表格」と期待が高まっていたのですが、医療専門家や栄養士が行った調査で、こうした代替肉から大量のナトリウムなど有害物質が検出されたことが影響していると思われます。
「ビヨンド・バーガー」などにも宣伝文句とは大違いで、野菜などはまったく含まれていなかったといいます。遺伝子組み換えの食材は含まれていなかったのですが、人工のカロリーや脂肪が検出されたわけで、健康面からは問題があることが判明したのです。これまでビル・ゲイツ氏が中心となり、「先進国では100%代替肉に移行すべき」とのキャンペーンが展開され、ニューヨークでもシンガポールでも、こうしたフェイクフーズの専門レストランが続々と誕生していたものです。
しかし、ウォールストリートの投資家の間ではフェイクフーズ関連の第4四半期の売上予測は当初1億3,160万ドルでしたが、今や8,500万ドルに下方修正されています。
この調子で行けば、一世を風靡するものと期待されたフェイクフーズは一過性の現象で終わりかねません。もちろん、ビル・ゲイツ氏も黙っていません。その影響力をフルに行使し、反撃に出ています。2022年1月10日から、KFCの4000店舗で「ビヨンド・フライド・チキン」の販売を始めさせました。これまでは牛肉やソーセージの代替肉が中心でしたが、ようやく誰が食べても本物の鶏肉と同じように味わえるチキンナゲットが完成したというのです。
KFCのホックマン社長は大変強気で、「当面は売りきりで勝負をするつもりだが、完売のスピードを見極め、本格的な導入を進めたい」とのこと。ビヨンド・ミートとしても株価が105ドルから65ドルにまで急落した危機的状況から脱却するためにKFCとの提携に本腰を入れているようです。
これが人気を呼べば、一挙に形勢逆転を狙えるという算段に違いありません。KFCの親会社は傘下にタコベルやピザハットも押さえているため、この植物由来のチキンナゲットがヒットすれば、より広い市場展開も可能になると踏んでいるようです。はたして、このフェイクミートをめぐる攻防戦の行方はどうなるのでしょうか。
いずれにせよ、真実を見分けることがこれまで以上に難しい時代になってきたことは間違いありません。これからは、ニュースもフーズもしっかり噛んで、自分の頭で理解し、自分なりの判断を下す努力が欠かせないはずです。
次号「第279回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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