企業の存続、「自己変革」を支援 福岡のまちの活力を取り戻す(後)
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福岡商工会議所 会頭 谷川 浩道 氏
新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、福岡商工会議所は企業の「命綱」として事業継続のための支援を行い、地場企業の信用を積み重ねている。谷川浩道会頭は、現在は企業にたゆまぬ「自己変革」が求められる変化の時代との認識を示し、企業が将来に向けて希望をもてるように、同所としてデジタル化支援などに一層注力すると意気込みを語る。
交流人口拡大を促進し、福岡の街を活性化
──今後の中長期的な展望・構想についてうかがいます。
谷川 福岡商工会議所には「商工業の改善・発達と福岡の発展」という理念があります。それに基づく長期ビジョンとして、(1)事業にチャレンジする商工業者、(2)アジアの交流拠点として活力あふれる福岡、(3)商工業者や地域から信頼される商工会議所という3つの項目を掲げています。今期の中期方針は、これらの考え方の下、コロナ禍という現状認識を踏まえ、3年間の「基本指針」を策定し、そのなかで各事業の目的を「取り組み課題」として設定しています。「基本指針」には、「環境変化に適応した事業維持・継続」「新たな価値・ビジネスの創造」「多くのひと・事業者の交流促進」「組織の体制強化」の4つを掲げています。
福岡市は第3次産業の比率が高く、市内総生産の91%を占めます。サービス業が集積する福岡市の成長には、国内外から人を呼び込むことで街を活性化させていく必要があります。現在、市内中心部では「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」などの大規模な再開発が進んでいます。そのほかにも、4月の「ららぽーと福岡」の開業、九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発の始動、さらに今年中には地下鉄七隈線の延伸工事が完了するなど、まさに街が生まれ変わろうとしています。加えて、5月には1年延期された世界水泳選手権2022福岡大会の開催が予定されています。これらの好機が、福岡の交流人口拡大とコロナ禍からの回復を後押ししてくれるものと大いに期待しています。
中期方針では、「多くのひと・事業者の交流促進」を掲げ、ビジネス交流を含む「交流人口の拡大」を重要な取り組み課題として認識しています。福岡市の都市開発の進展とともにさらなる交流の活性化に向けて、コロナ禍で深刻な影響を受けた観光関連事業者の支援、2年ぶりの「博多どんたく」の開催(検討中)やプレミアム付き地域商品券の発行、交流会などの事業を通じ、人流の活発化や消費の拡大を図り、地域の活力を取り戻していきます。
また、「新たな価値・ビジネスの創造」という取り組み課題について、先ほども述べましたように、中小企業のデジタル化により生産性向上を推進し、ひいてはDXに繋がるよう取り組みを強化していきます。さらに、世界の動きを視野に入れつつ、「カーボンニュートラル」「SDGs」などによる新しいビジネスの動きを注視しながら、中小企業の挑戦を後押ししていきます。
──コロナはまだ収束が見込めません。コロナ禍を乗り切るために、商工会議所がはたす役割についてどうお考えでしょうか。
谷川 商工会議所に求められていることは、コロナ禍の下での事業者の生存を支援すること、そしてやる気のある事業者が成長するよう共に考え、寄り添う「伴走型」の支援です。そのためにも、職員のレベル向上が必要であり、職員1人ひとりが成果を挙げることができるような環境を整備していきたいと思います。また、商工会議所だけでは成し遂げられない部分については、行政やほかの経済団体、民間企業と積極的に連携を図り、ネットワークを構築していきます。
商工会議所は、事業者の皆さんの相談に応じる体制を整えています。コロナ禍という苦境を共に脱し、活力あふれる福岡の実現に向けて全力を尽くすことで、地域経済に貢献していきます。
(了)
【茅野 雅弘】
谷川 浩道(たにがわ・ひろみち)
1953年生まれ、福岡市出身。76年東大法学部卒、大蔵省(現・財務省)入省。財務省横浜税関長、大臣官房審議官、(株)日本政策金融公庫常務取締役などを経て、2014年(株)西日本シティ銀行代表取締役頭取、16年西日本フィナンシャルホールディングス(FH)代表取締役社長に就任。21年6月、西日本シティ銀行代表取締役会長兼西日本FH代表取締役副会長、福岡商工会議所会頭に就任。法人名
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