「九州・福岡」のポテンシャルを世界に発信 九州一体となって繁栄目指す(前)
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(一社)九州経済連合会
会長 倉富 純男 氏(一社)九州経済連合会(以下、九経連)は1961年4月に設立。2021年に設立60周年を迎えた。昨年6月に九経連会長に就任した倉富純男氏に今年の展望などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)九州の「元気の素」福岡
──今年、半導体受託生産世界最大手・台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が熊本県菊陽町に工場を建設し、2024年に生産を開始します。同社幹部をはじめ、子どもの教育のために福岡に住む外国人も増えるのでは?
倉富純男氏(以下、倉富) 教育インフラの整備を福岡だけでなく、九州全体で行っていくことが重要です。たとえば、大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)の先生たちも、お子さんの教育のために福岡から通勤されている人が多いのが現状です。教育インフラ整備については、行政と一体で取り組むべき課題だと感じています。
──福岡への一極集中というのが九州の現状です。各県も一次産業を盛り上げるなどして九州全体で繁栄していくのが理想ですね。
倉富 いくら街が繁栄しているといってもバックグラウンドとなるものがなければ脆弱であり、地域にしっかりとした産業が根付くことで、初めて盤石な都市を築くことができるのです。たしかに現在は福岡に一極集中している状況です。今後、それぞれの地域がそれぞれの強みを打ち出したうえで、九州全体の繁栄を目指して連携していく必要があると感じています。
人の往来という意味では、九州各県には空港もあるし、港もある。たとえば、九州のどこかの県の空港に海外からの定期便を誘致するにしても、その県だけで取り組むのではなく、一致団結してやっていくことが重要です。
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「アジアのなかの九州」として世界に向けた発展を目指す(前)ただ、九州では海外から福岡への入国が多いのが現状であり、福岡一極集中が際立って見えてしまうかもしれません。そうした意味でも「九州全体がゲートウェイ」だと伝え続けていくことが、我々の大きな役割の1つだと思います。
だからと言って、福岡が元気をなくしてもいいということではありません。九州の「元気の素」が福岡だというのは紛れもない事実だからです。
──「天神ビッグバン」により再開発が進んでいます。再開発が進むにともなってビルの賃料が高騰すると、これまで安い賃料で入居していた地元企業が離れることも予想されます。これを東京などの企業の入居により埋められるものでしょうか。
倉富 おそらく従来の福岡のマーケットのままでは難しいと言わざるを得ないでしょう。しかし、天神ビッグバンは「アジアで最も創造的なビジネス街を目指す」という理念を掲げています。今はまだプロジェクトがスタートしたばかりですが、このプロジェクトが契機となり、今後は東京のみならず、ほかの地域、または海外企業の福岡進出が増加してくることは間違いないでしょう。そして、それが九州の「元気の素」になるわけです。ここで何もやらなければビルの老朽化が進み、福岡という都市が選ばれないのは火を見るよりも明らかではないでしょうか。
──築40~50年のビルが増えて、「一気呵成」の大改造の時期なのでしょうね。
倉富 日本列島は南海トラフ地震や首都直下型地震などの大災害に見舞われるリスクがありますよね。そのような状況下にあっては「防災・減災」を行い、災害に強いまちづくりをしていかなければなりません。そのためには老朽化したビルを建て替えることが急務です。また、万が一、首都機能が麻痺してしまった場合のバックアップ機能を担う都市になるべく、老朽化したビルの建替えなどを行うことで、仮に東京本社が被災してしまった場合でも「福岡支社があるから何とかなる」というふうになるでしょう。
(つづく)
【文・構成:新貝 竜也】
<プロフィール>
倉富 純男(くらとみ すみお)
1953年生まれ、福岡県うきは市出身。78年青山学院大学卒、西日本鉄道(株)入社。都市開発事業本部商業レジャー事業部長、取締役常務執行役員経営企画本部長などを経て、2013年6月に代表取締役社長就任。21年4月から代表取締役会長。同6月、九州経済連合会会長に就任。福岡県経営者協会会長、九州経営者協会会長も務める。関連記事
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