「九州・福岡」のポテンシャルを世界に発信 九州一体となって繁栄目指す(中)
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(一社)九州経済連合会
会長 倉富 純男 氏(一社)九州経済連合会(以下、九経連)は1961年4月に設立。2021年に設立60周年を迎えた。昨年6月に九経連会長に就任した倉富純男氏に今年の展望などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)福岡のポテンシャルを発信
──海外では福岡のポテンシャルが高く評価されています。しかし、肝心の福岡の方々がそのポテンシャルに気づいていないように感じます。
倉富 「世界から見た九州」「世界から見た福岡」のポテンシャルを皆さんに知ってもらうことも我々の役割だと感じています。一度、九州・福岡に来られた方なら、その勢いを実感されるでしょう。それを皆さんに伝えていくことで地域に勇気を与えていかなければなりません。
──海外の金融グループも福岡に注目しているという話を耳にしました。
倉富 おそらく皆さんが想像している以上の企業が進出してくる可能性は十分にあり、そうなれば新しいオフィス需要が創出されるでしょう。また、福岡に進出した企業がユニコーン企業へと成長していく過程でさまざまな支援を行っていきますし、そうした企業が成長にともなって手狭になってくれば、天神や博多駅前にさらに大きなオフィスを構えるようになるでしょう。
お話にあった金融グループに関していえば、やはり福岡に証券取引所があるというのが大きな魅力なのだと思います。今、福岡がそれだけ海外から注目されているというのは、ポテンシャルはあるけど「眠っていた」ということの裏返しともいえます。それを起こしていくのがファンドであったり、金融取引であったりするわけです。
──海外企業が進出してくれば、家族で福岡に来る人も多いと思います。生活環境や各種インフラ整備も必要でしょう。
倉富 福岡だけでなく、日本全体にいえることだと思いますが、「安心・安全」というのは大きなアドバンテージではないかと考えています。海外の多くの国では、たとえば日本人は日本人で、韓国人は韓国人でコミュニティを形成することでセキュリティーを確保しています。しかし、日本ではそうしたことをする必要がありません。治安の良さは日本の特長の1つですし、それをもっと外にアピールしてもいいのではないでしょうか。
──先日、日本在住の中国人に「将来、子どもを中国の大学に進学させるのか」と聞いたところ、「進学させたくない。できれば別の国に行かせたい」という答えが返ってきました。
倉富 普通に生活をしていて犯罪に巻き込まれることなど、ほとんどありませんからね。やはり、治安が良いという長所を積極的に発信することが重要です。加えて、大都市・福岡を中心とした九州全体の魅力を発信していかなければなりません。そのために九経連では、各県知事と「九州は1つ」の理念の下、「九州地域戦略会議」の開催などを通じて結束感を強めてきましたので、結束力には自信があります。こうした活動を通じ、福岡が先陣を切って「九州は良かところよ」と魅力を発信し続けることで、九州全体の発展へとつながっていくのです。
──元・福岡市長・桑原敬一氏(故人)は、市長時代に「海に開かれたアジアの交流拠点都市づくり」を理念に掲げました。今年はその目標に大きく近づく1年になるものと思います。
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地元九州の活性化へ 上場企業誕生に向けた支援倉富 30年以上前から「アジアの玄関口に」という大きなビジョンを掲げていたものの、福岡に住んでいる人からすると現実感に乏しかっただろうと思います。しかし、コロナ前のインバウンド客の増加で、それを徐々に実感できるようになったのではないでしょうか。さらに博多港や福岡空港の整備など、アジアに向けたインフラ整備が着々と進んでいます。それで、ようやく「福岡・博多がアジアのゲートウェイになるのだ」ということを実感できるようになってきました。
──「九州IR推進協議会」の会長も務められています。IRの長崎への誘致についてはいかがお考えでしょうか。
倉富 勝ち残れるものと確信しています。地方創生の旗を降ろしてはなりません。誘致先が東京・大阪など大都市だけでいいのでしょうか。九州全体が一致団結して歓迎の姿勢を示している点、ハウステンボスというインフラを利用できるメリットは、投資効果という意味でも大きいと思います。
後背地人口という観点から「はたして長崎にそれだけ多くの人を呼べるのか」と疑問に思う人はいるかもしれません。しかし、アジアに近いという最大のメリットが長崎にはあるのです。交通インフラの整備も県が総力を挙げて取り組むということですので、勝算は十分にあると思っています。
(つづく)
【文・構成:新貝 竜也】
<プロフィール>
倉富 純男(くらとみ すみお)
1953年生まれ、福岡県うきは市出身。78年青山学院大学卒、西日本鉄道(株)入社。都市開発事業本部商業レジャー事業部長、取締役常務執行役員経営企画本部長などを経て、2013年6月に代表取締役社長就任。21年4月から代表取締役会長。同6月、九州経済連合会会長に就任。福岡県経営者協会会長、九州経営者協会会長も務める。関連キーワード
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