2024年12月22日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~公務員の給与削減25%以上、政府の引き締め政策【特集「2022年中国経済の展望」(3)】(後)

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上海 イメージ    指摘に値することとして、清華大学の中国経済思想と実践研究院の李稲葵院長は12月2日の第14回金色麒麟セミナーで再度予告している。すなわち、今後数年は中国経済の改革開放後で最も困難な時期になる可能性がある。さらに、地方債務の増加、外資企業の連鎖的移転、大衆消費需要への供給不足などの要因が、将来の中国経済発展の速度に大きな影響を与え、その影響は政府の財政収入にもおよぶだろうと述べている。

 彼はまたこうも述べている。「第二次世界大戦以来、最大の全世界的経済の降下または衰退に直面する可能性が非常に大きい」。

 今年8月に中国政府が発表した官報のデータによれば、31の省市の上半期財政収支は上海だけが「財政黒字」だが、その他の30省市のすべては収入不足・支出過多となった。その圧力が最大である河南、四川、雲南などの省は、いずれも収支赤字が2,500億元(約4兆4,620億円)を超えている。

 2020年5月の早い時期に、中国の李克強首相は「政府工作報告」のなかで、各政府はまさに引き締めの日々を過ごさなければならず、中央政府主導の下、中央財政支出はマイナス成長となるが、そのなかで焦らず無理せず50%以上圧縮しなければならないと指摘していた。

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 11月の国務院工作会議で、李克強首相は再度強調してこう述べた。「コロナ禍という特殊な困難な状況下で、我々は政府が引き締めの日々を過ごすことを堅持して、大衆は安定した日々を過ごせる。基本的民生が保証されて民心も安定する。政府の一般支出を圧縮し、それにより節約できた資金をとくに民生の難事解決のために、加えて困難な大衆の懐を保障することに重点的に使って初めて、切に大衆人民の日々を徐々に向上させることができる」。

 コロナ禍が引き続き発生している状況下で、旅行、飲食、交通などの業界は大打撃を受け、国民の収入減少が起きている。民間企業の一部は堪えきれず倒産するケースも出現している。

 一方、経済を安定させるために、政府は中小企業に対して、節税政策を実施せざるを得なくなり、その分、財政負担の増加となっている。中国財政科学研究院が発表した「中国財政報告書(2021)」によると、25年の中国財政収支の赤字は約10.7兆元(約191兆円)になるだろうと予測している。将来の政府財政は、おそらくさらに緊縮されると予見できる。

 公務員の給与の大幅削減も「共同富裕」の道を歩むという表現は、公務員の収入が一般の事業会社の社員の収入より普遍的に高いからである。引き締めの日々を過ごす、これは「官民」一緒でなければならない。公務員の規律に合わない手当や補助を清算することも、政府の財政支出を制御することとなり、国民の不満の気持ちをなだめる重要な一手段となる。

(了)


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