名護市長選で郷原弁護士が渡具知市長の落選運動
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辺野古新基地建設(埋立)の賛否が大きな争点の「名護市長選(1月23日投開票)」が、これまで以上に全国注目の選挙となっている。
「国と県の係争を見守る」と繰り返す埋立推進派(黙認派)の現職・渡具知武豊市長と、中止を求める新人・岸本洋平前市議が激突する与野党対決の構図に加えて、渡具知氏落選運動を始めた元検事の郷原信郎弁護士が参入。「市有地売却で新疑惑急浮上」「市長に新基地+近親者の影」などと銘打ったチラシを作成し、国民に注目するように呼びかけているのだ。
昨年12月、新基地予定地周辺の貴重なサンゴ群落をグラスボートで見た郷原氏は、防衛省が隠蔽していた軟弱地盤の大規模改良工事でサンゴが壊滅の危機にあると実感。2兆円以上の巨費をかけて大規模な地盤改良工事をしても欠陥基地にしかならない恐れも指摘しつつ、「名護市長選では辺野古問題の議論が不可欠。争点外しを続ける渡具知市長は落選させるしかない」と断言、環境破壊をともなう無駄な税金投入になりかねないとして、全国民(納税者)にも関係する重大な問題と訴えている。
先の総選挙で、郷原氏は甘利明幹事長(当時)の落選運動に成功。このときは「あっせん利得疑惑の説明責任をはたしていない」と訴えたが、今回も「渡具知市長の義兄が執行役員を務める会社の『子会社』に優良市有地を売っていた」ことを問題視し、落選運動の理由の1つとしていた。
この市有地売却問題は「名護版モリカケ事件」と呼ぶのがぴったりの疑惑として、NetIB-Newsがいち早く昨年12月24・26日に報道(「名護市議が告発『名護版モリカケ事件』(不正入札疑惑)前・後」)。この記事で登場する東恩納琢磨市議は、市の一等地である旧消防庁舎跡地(約5,000m2)が渡具知市長の親族関連会社に安値で売却されていたことを追及。市議会には調査特別委員会(百条委員会)が設置されて真相解明中だったが、報道後、同市議の情報公開によって疑惑はさらに深まったという。
「情報公開によって、市有地売却の説明資料『事業スキーム説明書』が2種類存在していることがわかりました。1つが入札のプレゼンで実際に使用されたもので、もう1つが議会説明用に改竄(偽造)された文書です」。
議会提出文書には、名護市と大和ハウスJVが契約するスキーム図が示され、「名護市を所在とする新規法人」としかなかった。前述の報道で指摘した通り、市議たちは当然、JVが地元に新規法人を設立すると理解して承認したが、実際には新規法人は設立されず、市長の親族関連会社「丸政工務店」の子会社「サーバント」が金武町から名護市に移転、市有地の所有権を継承していた。
しかし、今回の情報公開で明らかになったプレゼン資料には、「丸政工務店」の別の子会社である「ホクセイ」の名前が明記され、そこに名護市が土地を売却するスキーム図になっていた。子会社同士で入れ替わったものの、市長の親族関連会社の子会社が土地・建物の所有者になることは同じで、偽造(改竄)文書を使って隠蔽し、議会に虚偽の説明を行ったとしか見えないのだ。
市の担当者に2種類の文書の存在について聞くと、「プレゼン内容に問題があったので議会承認前に修正してもらった」と改竄を否定した。
これに対し、東恩納市議は「2つの文書の日付は同じで違った内容になっていた。偽造(改竄)したのは明らか」と反論する。1月8日に開かれた郷原氏の落選運動学習会でも、2種類の文書を手に不正入札疑惑の核心部分を説明。これを受けて、東京からリモート参加の郷原氏が落選運動について基調講演を行った。質疑にも応じながら、次のような問題提起をして締めくくった。
「市有地売却で渡具知市長は説明責任をはたしていない。どう考えても米軍基地が原因の感染爆発にも、辺野古新基地建設にも異を唱えようとしない。渡具知市政では市民の命・暮らし・財産は守れない。名護市の未来は破壊されようとしているのではないか」。
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政治への入口になってみせる それが「れいわ」の使命(1)「アベ友」政治を引き継いだようにも見える渡具知市長のままでは、優良市有地の有効利用がされず、地元の宝というべき貴重なサンゴ群落も破壊の恐れがあると警告しているといえる。この落選運動がどこまで広がるのか。23日投開票の名護市長選の結果が注目される。
【ジャーナリスト 横田 一】
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