半導体製造装置分野で世界1位を目指す蘭ASML社(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏半導体不足は、多くの業界にとって頭痛の種で、確保が喫緊の課題となっている。製品需要が急増するなか、メーカーは自社製品に使用する十分な数の半導体を確保できていない。そうした状況なので、半導体を製造するファウンドリ事業の拡大が続き、ファウンドリ事業に欠かせない露光装置市場も活況を呈している。次世代露光装置「極端紫外線(EUV)」世界唯一の製造メーカー・ASMLは、第5世代移動通信システム(5G)、自動運転、人工知能などの普及を追い風とした半導体ニーズの微細化にともない、その業績を伸ばしつつある。
極端紫外線(EUV)露光装置とは
半導体の微細化における主な課題は、これまで以上にシリコンウエハー上に細かく回路を刻み込まなければならないことだ。半導体製造には多くの工程があるが、そのなかで最も重要な工程がシリコンウエハー上に電子回路を刻み込む「露光(Photolithography)工程」である。「フォトリソグラフィー」という言葉は、「フォト」(光)による「リソグラフィー」(石に刻むこと)を意味している。この露光工程は時間的には全工程の60%、費用的には35%を占めている重要な工程である。
露光装置は光を利用して、大きなガラス板に電子回路のパターンが描かれたフォトマスクを、超高性能レンズで縮小し、シリコンウエハーと呼ばれるシリコンの板の上に塗布した材料(フォトレジスト)に強いレーザー光を照射して感光させる装置。次世代露光装置は、さらに短い波長の光を使うことで、より一層、微細な回路回路を刻み込むができる装置である。
既存のアルゴン・フッ素エキシマレーザーの波長が193nm(ナノメートル)なのに対し、極端紫外線(EUV)の波長は13.5nmと約14分の1になるため、その分、微細なパターンを刻み込むことができる。回路を描く露光工程装置は、光学、機械、化学、ソフトウェアなどのハイテク要素技術が統合されたもので、サイズは2tトラックほど。価格も高額で、1台約200億円だ。サムスンとTSMCの両社は、光の波長がより短い極端紫外線(EUV)へと移行済みで、現在は露光装置の確保合戦が繰り広げられている。
ASMLはいかに台頭してきたか
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インテルのファウンドリ市場「再進出」は成功するか?(前)2000年頃まで、露光装置におけるシェアは、ニコンが世界トップで、キヤノンとともに露光装置分野は日本の独壇場だった。ところが、最先端技術が必要なEUV露光装置においては、現在のところASMLのみしか製品化に成功していない。ニコンとキヤノンは開発を中止しており、ASMLの1人勝ちとなっている。
1984年にオランダのフィリップス(Philips)の1部門とASMインターナショナル(ASMI)が共同出資する合弁会社として設立されたASMLが露光装置で初めて首位に立ったのは2002年で、06年以降は一度もトップの座を譲っていない。
ASMLは設立当社、規模も小さく、それほど存在感のある会社ではなかったが、シェアを徐々に拡大していき、10年ごろにはASMLの世界シェアが約8割、一方のニコンは約2割と大きなシェアを占めるようになった。そうした背景には、日本企業が内製化にこだわった反面、ASMLは外部をうまく活用するコンソーシアム戦略を取ったことが挙げられる。
同社は優れたエキシマレーザー光源技術を保有している米サイマー社を買収したり、レンズのノウハウを蓄積している独カールツァイス社の子会社の株を購入したりして現在に至っている。現在、EUVはASMLの独壇場であり、これからも同社は安定した成長をしていくと予想されている。
難関を乗り越えて開発に成功したEUVを世界で初めて導入したのはサムスン電子である。その後、EUVはTSMCにも導入されているし、SKハイニックス、インテル、マイクロンなどでも導入が予定されている。EUVはもともとファウンドリ事業に導入され始めたが、現在はメモリ生産ラインにも導入が始まっており、需要が急増するのではないかと予想されている。
(つづく)
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