2024年11月24日( 日 )

【バトル激化】橋下徹が“維新キラー”大石議員を提訴

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

“因縁の対決”再び

大石晃子議員
大石晃子議員

    「維新キラー」こと大石晃子衆院議員(れいわ新選組)が2月3日、維新の創始者である橋下徹・元大阪市長に訴えられたことをツイッターで明らかにした。「ちょ、待て 橋下徹 @hashimoto_loにうったえられたんだが」と投稿した大石氏は、訴状の内容を次のように紹介したのだ。

 「2月3日、橋下徹氏より大石あきこの発言が『たびたび攻撃的な表現行為を繰り返している』として『名誉棄損行為、社会的評価を低下させる行為であり300万円を支払え』との訴状を受け取りました」

 因縁の対決とはこのことだ。大石氏は、橋下徹・大阪府知事(当時)とやり合った13年前を振り返ったうえで、受けて立つと宣言したのだ。

橋下徹氏
橋下徹氏

「2008年に橋下氏は、府知事に就任して最初の朝にて『民間では始業前に朝礼するのが当たり前であり組合が超過勤務と言ってくるなら勤務時間中のタバコや私語も一切認めない』と発言しました。それに対し大石あきこが『どれだけサービス残業やっていると思っているんですか?』と噛みついてから13年。本件に対しても然るべき対応を行います」

 れいわと維新とのバトルがさらに激化することも確実だ。12月6日の本サイト記事「れいわと維新『ガチンコ勝負』~改憲加速、文通費100万円問題で、れいわが強烈な『先制パンチ』」で紹介した通り、「維新キラー」とも呼ばれる大石氏は山本太郎代表とともに維新を厳しく批判。国会初登院をした11月10日の新宿街宣では、自民党以上に改憲に前のめりの維新を「火事場泥棒」と山本代表が指摘すると、大石氏も維新副代表の吉村洋文知事を次のように一刀両断にしたのだ。

 「大阪は医療崩壊がワーストなのです。コロナによって亡くなった人は全国一位なのですが、どういうわけか関西のメディアが『維新のコロナ対策がうまくいっている』と報道するもので、吉村知事の人気が非常に高くて、維新が大躍進をしているという状況なのです」「それで火事場泥棒的に調子をこいて、『自分たちがもっと人流を抑えたいから憲法を変えて、皆さんの自由を制限するのだ。これがコロナ対策だ』という訳のわからないことを言っている。まさに火事場泥棒ですよね」。

吉村氏に「特大ブーメラン」

松井一郎大阪市長(写真左)と吉村洋文・大阪府知事(写真右)
松井一郎大阪市長(写真左)と
吉村洋文・大阪府知事(写真右)

    吉村氏や橋下氏ら維新関係者が急に騒ぎ出した「文書通信交通滞在費(文通費)」問題でも、吉村氏が衆議院議員を退職した2015年10月1日に文通費100万円を満額受け取っていたことを大石氏は暴露。特大ブーメランが返ってきた吉村氏を謝罪に追い込んだだけでなく、吉村氏が“文通費内緒にしてくれ”と橋下氏に発言した当時の鼎談動画もツイッターで公開、第二の特大ブーメランをぶち当ててもいた。「2015年10月6日 ニコニコ生放送(大阪維新の会特番)鼎談 橋下徹・松井一郎・吉村洋文」と題する動画には、文通費問題で盛り上がる2人の会話が残っていたのだ。

 橋下氏 しかも毎月百万円、経費をもらうわけで、文通費ね。
 吉村氏 でも文通費の公開、あれは本当、市長と幹事長、いいところに目をつけたというか、ウイークな(弱い)ところを突いていただいて。
 橋下氏 あれだって、地方議員は政務調査活動費で――。
 吉村氏 もうちょっと内緒にしてもらったら(笑い)。あれ、完全に第二の財布ですから。
 橋下氏 あれね。
 吉村氏 維新の会、維新の党は「公開する」ということで公開していますけれども、あれ、公開しないところは本当に第二の財布で、飲み代や何やらに消えているでしょうね。
 橋下氏 だって、それで税金だってかかっていないわけですから。
 吉村氏 そうです。

 このやりとりを大石氏は11月17日のツイッターでこう解説した。
「2015年10月、退職の1日で文通費100万円を得た、5日後の吉村発言。『文通費、内緒にしてもらったら(苦笑)』『公開してないとこは、飲みしろやなんやに消えているでしょうね』→吉村さんは10月分だけ公開せず飲みしろに使ったんですか? 『ブーメラン反省』では済まない大問題ですよね」

 大石氏が暴露をした鼎談動画を見ると、吉村氏も橋下氏も2015年に文通費問題に気が付きながら6年以上も放置、2021年になって急に騒ぎ出したことがわかる。「隠蔽や改竄をする維新は改革政党なのか」といった疑問も膨らんでいく。

山本代表(写真左)と大石議員(写真右)
山本代表(写真左)と大石議員(写真右)

 橋下氏が大石氏の発言を「社会的評価を低下させる行為」と見なして提訴に踏み切った心情はわからないではない。維新関係者の“改革政党”のイメージを、大石氏が爆弾発言(発信)でぶち壊すという関係になっているからだ。なお維新の馬場伸幸共同代表は「現在、橋下氏は日本維新の会とはまったく関係がない」と強調しているが、実際は「私人」と言いながらテレビに頻繁に出演、維新を好意的に紹介することが多い実質的な“広報宣伝部長”のような役割をしているのは明らかだろう。裁判では「橋下氏は維新と無関係なのか」「私人といえるのか」についても論点になるに違いない。第一回口頭弁論の期日は3月11日。大阪地方裁判所での大石氏と橋下氏の法定闘争から目が離せない。

【ジャーナリスト/横田 一】

関連記事