中国経済新聞に学ぶ~今年の中国GDP成長率は5%の見込み(後)
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今年の経済動向を四半期ごとに見ると、「しり上がり」となるだろう。財政援助に支えられたインフラ建設が経済を支えるというかたちが目に見えてくるほか、不動産市場も下半期にはある程度の改善が期待される。コロナがこの3カ月で抑制されれば、経済全体も第1、第2四半期には落ち着きを取り戻せるとも見られる。ただし、逆に上半期に形勢を挽回できずに落ち込み続けるようであれば、国際的な環境が変わり、アメリカFRBの通貨引き締め政策を経て、中国経済はさらに厳しい局面に置かれてしまう。
USB銀行は、今年の中国経済の成長率を概ね5%以上と見ているが、厳しいコロナ政策が長引くようであれば、不動産活動の落ち込み幅が予想以上となり、成長率は4%程度となるという。野村証券のエコノミスト・陸挺氏によると、コロナ対策がこのまま続けば小売業やサービス業が一段と苦しくなり、物価の変動を除いた一般商品の小売売上高は前年比割れもあり得るとし、「第1四半期は4.2%、年間では5.2%」という大方の予測値は甘すぎる、と見ている。よって野村は、第1四半期は前年同期比2.9%プラス、年間では4.3%プラスとみているほか、上半期についてはかなりの下振れリスクがある、と見ている。
しかし、HSBCホールディングスが1月13日に発表した、全世界の企業に対するアンケート結果を見ると、中国企業の6割以上が今年の成長に自信をもっているとのことである。
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福岡県―江蘇省友好都市30周年を迎え、経済から文化まで交流を促進(前)この「匯豊商賈領航」とよばれるアンケートは、去年の第4四半期に、世界14の地域で、中国企業526社も含めて計7352社を対象に実施したものである。
中国企業は、新型コロナウイルスのぶり返しや世界経済の回復が見通せないなどといった状況のなか、経済政策の実施などといった追い風もあり、今年の業務に自信をもっており、成長が望めると答えた企業が66%に達している。その一方で、各社とも課題に前向きに対応しており、消費者のニーズの変化に合わせて主な業務や製品を見直している企業がおよそ4割、また新たな市場を開拓する予定との企業が4割以上に達している。
中国経済は現在、重点を「量」から「質」へ移している。不動産市場のコントロールやIT企業への規制などを経た今、経済政策を定めるには新たな成長点を見出す必要がある。それは、産業の進歩や成長に沿ったものであること、製造業の国際競争力を引き上げられること、資金の「貯水池」となれるだけのスケールを有すること、という3つの条件を満たすものである。難易度は推して知るべしである。
(了)
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