【長崎県知事選】限りなく「黒」に近い自民、維新陣営(後)
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県民からも「違法ではないか」の声
郷原信郎氏に大石賢吾氏のチラシを見てもらうと、「参院広島選挙区再選挙の自民党公認候補のビラとほとんど同じで、非常に問題だ」と判定してくれた。
「限りなく『黒』に近い?」と疑われるチラシを受け取った長崎県民の間からも「違法ではないか」との声が上がったが、長崎県の選管に問い合わせると、「過去に他県でもシルエットチラシが使用されたが、本人の写真ではないので問題ない」(担当者)と答えた。
だが、NetIB-Newsの2021年4月24日付記事(【参院広島再選挙】限りなく「黒」に近い?~自民党の選挙活動)では、この県選管の主張を論破するような解説を紹介していた。今回のケースにそのままあてはまるので、引用する。
<(参院広島再選挙の)折込みビラには「※公職選挙法に規定により候補者の顔写真や氏名を記載することが禁止されているため、シルエットを用いています。」というただし書きがあった。法律順守の姿勢を印象づける文言にはなっているが、郷原氏が「候補者名を推測されるようなことを書いてはいけない」と述べた通り、公選法は「氏名類推事項」(注)の掲載も禁止しているのだ。この部分を意図的に削除することで、違法行為ではないと印象づけることを目論んだ確信犯と疑われても仕方がないのだ。>
参院広島再選挙の折り込みビラについて郷原氏は、こう指摘していた。
<「シルエットの利用自体はグレーゾーンで、東京都知事選や北区区長選や富山県知事選でも問題になったが、この三選挙ではシルエットと共に併記している文字は候補者を匂わす程度にとどめており、本人のビラとは一応区別できるようにしていた。それに比べて今回の(参院広島再選挙での)折込みビラは、シルエットのイラストが候補者であることを明示し、年齢や細かい候補者のプロフィールまで載せており、本人の選挙活動用の顔写真入りのビラを、わずかに加工したかのようなつくりになっている。政党ビラとして一線を超えているように見える。『自民党は明確な公選法違法でなければ何でもやるのか』『自民党は限りなく黒に近い選挙をまたやるのか』と批判されても仕方がないだろう」。>
長崎県知事選で大石氏想起チラシを配布したのは、新人候補を応援する確認団体「新しい長崎をつくる会」。参院広島選挙区再選挙での折り込みビラは「限りなく黒に近い」と郷原氏に問題視されていたのに、長崎県知事選でも大石氏を想起させるシルエットチラシをばらまいていた。
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名護市長選で郷原弁護士が渡具知市長の落選運動世論調査では、現職の中村知事が先行して大石氏が追う展開になっているが、「こんなことをやらざるを得ないところまで大石候補の陣営は追い込まれているのではないか」と郷原氏は見ていた。
違法性濃厚のなり振り構わぬ手法がプラスになるのかマイナスになるのか。20日投開票の長崎県知事選の結果が注目される。
注:国会答弁(第103回国会衆議院・地方行政委員会第1号、1985年11月8日)には、「公職の候補者等の氏名又は当該公職の候補者等の氏名が類推されるような事項」について「氏名が類推されるような事項の中には写真とかあるいは似顔絵とかそっくりの人形とか、そういうような、そのことを見ることによって客観的に候補者の氏名が想起されるような事項を含む」とある。
(了)
【ジャーナリスト/横田 一】
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