2024年12月22日( 日 )

接種証明制度はアベノマスクに匹敵

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「反知性主義」を象徴する施策がワクチン・検査パッケージだと指摘した2月22日付の記事を紹介する。

ワクチン2回接種が感染防止の意味を失ったため「ワクチン・検査パッケージ制度」が停止に追い込まれた。

オミクロン株ではワクチン接種を受けている者が多く感染している。

したがって、ワクチン接種は「感染しない」「感染していない」証明にならない。

同時に「感染させない」証明にもならない。

「ワクチン・検査パッケージ」は「接種証明」または「陰性証明」提示を行動規制緩和あるいは政府による利益供与策の条件にするというもの。

「接種証明」には期限を設けない。

「陰性証明」については、抗原検査は1日限り、PCR検査は3日間を有効期間とする。

ワクチン接種していない人は、行動規制緩和や政府による利益供与策を受けようとするたびに、検査を受けて「陰性証明」を取得しなければならない。

検査費用は公費負担とされたが、

「健康上の理由でワクチン接種を受けていない者」

に限られる。

「自己の判断でワクチン接種を受けていない者」

の検査は有料とされた。

「健康上の理由でワクチン接種を受けていない者」

のなかに「ワクチンの健康上への影響を懸念してワクチン接種を受けていない者」が含まれるのかどうかは明示されていない。

一部のワクチン接種推進者が、厚生労働省の第71回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料を根拠に、ワクチンはオミクロン株感染防止効果があると主張しているが疑わしい。

https://bit.ly/3BD5Tuy

第71回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料では、ワクチン接種を受けた者の感染確率が低いとされるが、データベースになっている

新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム
(HER-SYS
=Health Center Real-time <INFORMATION>-sharing System on COVID-19)
https://bit.ly/3Ic8LB4

において、ワクチン接種情報が基本入力項目になっていない。

データそのもののなかにワクチン接種の有無が不明というデータが多数存在する。

つまり、ワクチン接種情報が正確に入力されているものであるのかどうかが疑わしい。

また、この資料の計測機関が1月24日から1月31日の1週間に限定されている。

このデータだけを根拠にワクチン接種がオミクロン株感染予防に有効であるとは判定できない。

また、現在、コロナでの死者が多数確認されているが、ワクチン接種有無別の計数、基礎疾患の有無別の計数などを公表すべきだ。

ワクチンを推奨したいなら、ワクチン接種の有効性を判定するためのデータを全面的に開示すべきだ。

岸田内閣はワクチン接種が陰性の証明にならないことから、「ワクチン・検査パッケージ」の運用を停止した。

当然の判断だ。

ところが、山際大志郎経済再生担当相が、「ワクチン・検査パッケージ」の適用再開を検討する考えを示した。

https://bit.ly/3h2Jw8r

山際氏は「今後、3回目のワクチン接種が進んだ場合には」との条件を付しているが、ワクチン接種を3回受けた者にだけ「接種証明」での行動規制緩和、政府の利益供与策を認めるということなのか。

これは、ワクチン2回接種者には「接種証明」の効力を与えないことを意味する。

ワクチン接種の副作用問題が拡大するなか、ワクチン3回目接種を受ける者は激減するだろう。

2回接種者に「接種証明」の恩恵を与えないことになれば不満が噴出することを避けられない。

また、ウイルスは変異を続ける。

新しい変異株が出現し、感染予防効果が低下することが当然考えられる。

変異株が登場したら、また運用を停止するのか。

また、3回目接種を実施しても、時間の経過とともに効力が落ちる。

接種証明に「賞味期限」を設定することも必要になる。

他方、非接種者の検査および陰性証明取得の費用を公費負担にする期限が2022年3月末までとされている。

制度の運用が始まる前に期限が切れる。

要するに、「ワクチン・検査パッケージ」そのものに合理性がまったくないのだ。

早急に「ワクチン・検査パッケージ」制度の全面的な廃棄を決定すべきだ。

埼玉県の大野元裕知事は、無意味な接種証明の利用を強引に始動させた。

接種証明提示者に午前11時から午後8時半までの多人数飲食会食を容認した。

接種証明は「感染していない」証明にならない。

「感染しない」証明にもならない。

だから「感染させない」証明にもならない。

「接種証明」を提示する者がコロナ感染者である疑いが十分にある。

その「接種証明」提示者に長時間の多人数飲酒会食を認めることに正当性は皆無。

埼玉県ではこの制度を利用する者にだけ飲酒会食を認めている。

「反知性主義」を象徴している。

このことに賛同したのが日本商工会議所の三村明夫会頭。

まったく同様に「反知性主義」を象徴するものだ。

※続きは2月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「接種証明制度はアベノマスクに匹敵」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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