柔道家プーチンのしたたかな“黒帯”戦略(前)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸アメリカとウクライナ、細菌兵器研究
このところ一日中、ウクライナに関する報道合戦が繰り返されています。ロシアの軍事侵攻が最大の関心事となっているわけですが、どこまで真相が明らかにされているかは大いに疑問です。もちろん、戦争という事態を引き起こしたロシアに問題があるのは当然でしょう。
しかし、たとえば、ロシアからの攻撃が始まる直前に、キエフにあるアメリカ大使館では大量のデータを廃棄処分にしました。それまで大使館のホームページで公開していた「アメリカとウクライナの間で交わされた安全保障に関する共同開発事業計画」などのデータはことごとく消されてしまったことには疑問を感じます。
実はロシアは自国との国境に近い場所で、アメリカとウクライナが「細菌兵器の研究」を行っていることを「深刻な脅威」と位置づけ、国連に対しても調査を要請してきていました。
しかし、アメリカもウクライナも「フェイクニュース」として無視してきていたのです。では、なぜアメリカ大使館は突然、そうした共同研究に関する情報を削除したのでしょうか?いずれにせよ、現在、ロシア軍はウクライナ国内11カ所に散らばる米軍の細菌兵器の研究拠点を押さえようとしていると思われます。
プーチン大統領はそうしたアメリカによる生物化学兵器の研究拠点の存在を最も危険視し、これまでも繰り返し、そのことを国際社会に訴えてきていたからです。ところが、国連も欧米諸国も一向に動こうとしなかったのです。
問題はこれらアメリカ軍主導の研究開発拠点がこの2月末には完成することが明らかになったことです。「このままでは国家存亡の危機になりかねない」という差し迫った危機感がプーチンのウクライナ侵攻を決断させたようなのです。
小生は決して親ロ派ではありません。とはいえ、プーチン大統領が国際社会からの糾弾や経済制裁が強く想定されるにもかかわらず、今回の暴挙に出た理由はほかにもいくつもあり、考えさせられてしまうのです。いわゆる、アメリカにとっての「不都合な真実」隠しという側面があるのでは、と言っても過言ではないように思われます。
プーチン大統領がウクライナ侵攻で狙った真のターゲットは何か?それはアメリカがウクライナに極秘に維持していた「生物化学兵器」の研究開発拠点11カ所を抑え、アメリカの最先端技術を収奪することにあると思われます。幼いころのいじめ体験から、柔道に生きる術を見出したプーチンらしいところです。
一方で、アメリカ政府はことあるごとに「ロシアのウクライナ侵攻が近い」と警告を発していましたが、実際に戦闘が始まっても、アメリカは軍事的な対応はしていません。アメリカ製の武器や弾薬はウクライナのみならず、周辺のポーランドなどに大量に売りつけるだけです。アメリカやイギリスの軍需産業にとっては「願ってもないビジネスチャンスの到来」というわけでしょう。
ロシアの軍事侵攻は「勿怪の幸い」
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2024年大統領選に影を落とす米中対立の行方(前)バイデン大統領がロシアの軍事侵攻に対して口先介入しかできない理由は何でしょうか?実は、バイデン大統領の息子ハンターがウクライナ最大のガス会社「ブリスマ」の役員として年間1億円を優に超える高額報酬を得ていた見返りに、父親を動かしアメリカの公的資金を投入させた事実をプーチン大統領に握られていたからだと推察されます。
そんな弱みを握られているバイデン大統領であれば、ロシアには刃向かえないと確信したのがプーチン大統領なのです。KGB出身のプーチンの強みは、最大の敵国と位置付けているアメリカの指導者へのスキャンダル工作を長期にわたって遂行してきたことです。何もバイデンだけを狙ったわけではなく、トランプ前大統領にも同じような媚薬を嗅がせ、ロシアとの水面下でのおいしいビジネスを提供してきたのがプーチンでした。
そのため、トランプ前大統領は口では「ロシアはけしからん。自分が大統領であれば、今回のようなウクライナへの軍事侵攻はありえなかった」とロシア批判を繰り返していますが、その一方で「プーチンは大事な親友だ。尊敬している」とも語っているではありませんか。
要は、トランプ前大統領にとっては、ロシアのウクライナ侵攻は「勿怪(もっけ)の幸い」といったところなのです。なぜなら、すべての責任を「居眠りバイデン」に押し付けることができるからでしょう。2024年にホワイトハウス奪還を狙うトランプにとって、バイデンの優柔不断な態度は「渡りに船」といっても過言ではないのです。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。最新刊は『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』(祥伝社新書)。関連キーワード
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