2024年11月06日( 水 )

世界のトップを操るディープレディたち

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、3月4日付の記事を紹介する。

ロシア国旗 イメージ    このところ世界を朝から深夜まで騒がせているのは「ウクライナ危機」に他なりません。ロシアのプーチン大統領は国際社会の非難や制裁を「どこ吹く風」と受け止め、矢継ぎ早にウクライナへの軍事侵攻を続行しています。

 ロシアにもウクライナにも言い分はあるでしょう。しかし、武力による一方的な侵攻は容認されるものではありません。開戦から1週間以内に終われば、ロシア国内では「プーチン礼賛」の波が沸き起こるはずです。

 しかし、軍事作戦が長引き、国際社会からの経済制裁が続けば、資源大国を標ぼうするロシアといえども、一般国民からの反発も大きくなるに違いありません。SWIFTと呼ばれる国際的な決済システムからロシアの主要銀行が外されることになりました。当面はもちこたえるでしょうが、いくら頼みの天然ガスや石油を輸出しようとしても代金の決済ができないとなれば、海外の政府も輸入企業も二の足を踏むことになります。

 もちろん、こうした事態を見越して、プーチン大統領は先の北京冬季五輪の開会式に合わせて中国を訪問しました。その目的は、事前に「ウクライナへの軍事侵攻計画」を伝え、欧米からの経済制裁が発動された場合には、「中国が運営するCIPSと呼ばれる国際決済システムでの支援」を要請することだったようです。

 中国もアメリカとの経済通商面での対立関係があり、北京五輪に際してはアメリカから「外交的ボイコット」を仕掛けられたため、ロシアの要請には前向きに対応したことは明らかでした。とはいえ、プーチン大統領の説明は不十分だったようで、習近平国家主席の理解では「ロシアの軍事侵攻はウクライナ東部のロシア系住民の多い地域に限られる」と受け止めていた模様です。

 そのため、ウクライナ全土にロシア軍が侵攻している現状に対しては、中国としても「付き合いきれない」との思いを強めているに違いありません。なぜなら、ロシアへの経済制裁が本格化すれば、CIPSに加盟している中国の大手金融機関もロシアと同じように欧米諸国の経済制裁の対象になるからです。そこまで、ロシアと運命を共にする発想は習近平氏にはありません。

 いずれにしても、柔道黒帯の有段者であるプーチン大統領です。相手の動きを読み、自分より大きな相手でも巧みに技を仕掛けるのが彼の幼いころからの得意とするところでした。KGBでの経験を経て、敵対する相手の弱点をつかんで、自分の思う通りに操るのは得意技に他なりません。

 プーチンはドイツのメルケル前首相はもとより、アメリカのトランプ前大統領、そして今のバイデン大統領に至るまで、長年にわたりスキャンダルのネタを仕込み、ここぞという瞬間に使ってきたわけです。今回も、バイデン大統領は決してウクライナに軍事的な介入はできないはずだと見越していたフシがありました。

 実は、プーチン大統領は女性関係も凄腕で知られています。長年連れ添った第一夫人とは離婚しましたが、新体操のメダリストをはじめ、女性関係の話題には事欠きません。しかも、プーチン大統領の口説き文句は凄まじいものです。曰く「俺と付き合え。さもなければ、殺すぞ」。今のウクライナ侵攻のやり口からも、そうした殺し文句で狙った女性を手に入れてきた経験が生かされているように思えてなりません。

 閑話休題。

 小生は去る2月末、新著を発刊しました。題して『世界のトップを操る“ディープレディ”たち』(WAC出版)です。「ディープステート」という言葉はご存知でしょう。アメリカの国家の中枢を操る情報機関や国際的な金融機関を示す表現で、「裏の政策立案組織」とも見なされている非公式な権力ネットワークのことです。

 しかし、世界のトップを最も身近な存在として操れる立場にあるのは、ファーストレディや愛人なのです。そのことをアメリカのバイデン、トランプ両大統領、フランスのマクロン大統領、そしてイギリスのジョンソン首相の女性関係から明らかにしてみました。

 また、経済界からは資産額で世界1、2位を争う電気自動車「テスラ」のマスク社長とネット販売の最大手「アマゾン」のベゾス会長、そして世界3位の「マイクロソフト」の創業者ゲイツ氏を取り上げ、彼らが成功するきっかけをつくった夫人や恋人の手練手管を分析しました。

 来る4月にはフランスの大統領選挙が予定されています。現職のマクロン大統領ですが、存在感をアピールしようと、ウクライナ危機を最大限に活かし、プーチン大統領への働きかけを試みているようです。

 実は、アメリカのトランプ前大統領も、2024年の大統領選挙に向け、再度挑むことは確実視されています。この両人の運命を大きく左右するのが夫人の役割といえるでしょう。なぜなら、これまでもそうでしたが、欧米の大統領選挙では「夫婦道」そのものが問われるかたちで戦うことになるからです。

 興味深いことに、両夫妻とも年の差は同じく24歳。とはいえ、マクロン大統領夫人は24歳年上で、トランプ前大統領夫人は24歳年下です。共に夫を支えるという役回りですが、その演じ方は対照的。詳しくは、拙著をじっくりとお楽しみいただき、今後の生き方やビジネスの参考にしていただければ幸いです。

 次号「第286回」もどうぞお楽しみに!


著者:浜田和幸
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