【ラグビー】宗像サニックスが廃部 企業スポーツの今後(前)
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ジャパンラグビーリーグワン・ディビジョン3の「宗像サニックスブルース」が今季限りで廃部になるというラグビーファンにとってショッキングなニュースが飛び込んできた。昨年限りで解散したコカ・コーラレッドスパークスに続き九州のラグビー界をリードしてきたチームがまた消えることとなった。
突然告げられた廃部通達
地元紙の「西日本新聞」は2月16日、ラグビー新リーグ「リーグワン」3部の宗像サニックスブルース(福岡県宗像市)が今季限りで廃部を検討していると報じた。
〈関係者の話を総合すると15日、宗像市のクラブハウスでチーム幹部から選手・スタッフらに廃部の可能性が伝えられた。20日のリーグ戦第5節、昭島戦(北九州市本城陸上競技場)を前にしての突然の通達に、選手らはぼうぜんとしていたという〉
2月20日、宗像サニックスはクリタウォーターガッシュ昭島(旧・栗田工業ウォーターガッシュ)と対戦した。
宗像サニックスは、風上の前半は10-7と苦しんだが、不利のはずの風下に回った後半に攻撃ラグビーが爆発。元日本代表WTBカーン・ヘスケスの2連続トライなど4トライとたたみかけ、今季最多となる5トライ37点を奪う大勝を飾った。
廃部が報じられていたので、スポーツ各紙が取材に殺到。FB屋宣ベンジャミンレイ主将は、試合後のオンライン会見で、こう語ったという。
「報道された通り、僕を含め選手はショックを受けました。でも、応援してくれるファンのために最後まで乗り切ろう。試合がなくなったわけではないので、目の前の1試合1試合、1日の練習を今まで通り全力を取り組もう。このチームのため、応援してくれたファンのために全力でプレーしようと話しました」
日本をW杯8強に導いたジョセフHCの存在
2019年ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会は、日本代表チームの活躍で、ラグビー人気が盛り上がった。
日本代表を史上初めてベスト8に導いたジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、日本ラグビー協会の藤井雄一郎強化委員長とともに、縁の深い福岡県に凱旋。2人は同年10月23日にかつて在籍した(株)サニックス(福岡市)の本社を表敬訪問。宗政寛社長にベスト8入りを報告するとともに、集まった元チームメイトたちと旧交を温めた。
ジョセフ氏は、1995年から2000年までサニックスに所属し、藤井氏(サニックス前監督)らと一緒にプレーした。ちなみに15年ワールドカップ(W杯)イングランド大会の南アフリカとの試合で劇的な逆転トライを決めたWTBカーン・ヘスケス氏もサニックスで育った。
日本代表のヘッドコーチに就いたジェイミー・ジョセフ氏を、藤井氏がナショナルチームディレクターとして支えており、日本列島を興奮の渦に巻き込んだ19年W杯での日本代表の快進撃は、サニックスなくしてありえなかったともいえる。
「サニックスは私の人生を変えた。ファミリーの一員としてトップ8入りできてうれしい」。
そう語ったジョセフ氏は、アイルランド戦でジェームス・ムーア選手(サニックス所属)が着ていたジャージに日本代表全員のサインが書かれたものを宗政寛社長にプレゼントした。
応接室には、ジョセフ氏が日本代表として出場した1999年のワールドカップ期間中、英国に応援に行った創業者の故・宗政伸一氏(前社長)と一緒にツーショットで写った写真が大きな額に入って飾られている。その写真を感慨深そうに見ているジョセフ氏の姿を、地元テレビ局のカメラが映していた。
(つづく)
【経済ジャーナリスト/秋月太郎】
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