2024年11月23日( 土 )

九州地銀の2022年3月期 第3四半期(12月期)決算を検証する (3)

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【表1】は九州地銀17行(含むFG・FH)の21年12月期の預貸金残高順位表である。
~この表から見えるもの~
(1)    金融グループの預貸金残高順位表について
◆貸出金残高トップはふくおかFG(傘下3行)で、前年比▲667億円の16兆7,914億円(同比-0.4%)。貸出金のシェアは51.3%で過半数を超えている。
・2位は西日本FH(傘下2行)で、前年比764億円増の8兆5,198億円(同比+0.9%)。シェアは25.7%。
・3位は九州FGで前年比2,005億円増の7兆7,609億円(同比+2.7%)。シェアは23.0%。
・参考の北九州銀行を傘下に置く山口FGは、前年比1,785億円増の8兆482億円(同比+2.3%)。
◆総預金残高トップもふくおかFGで前年比8,402億円増の20兆2,708億円(同比+4.3%)。シェアは50.3%で過半数をわずかに超えている。
・2位は西日本FHで前年比3,043億円増の10兆723億円(同比+4.9%)。10兆円超え。シェアは24.9%。
・3位は九州FGで前年比3,466億円増の10兆451億円(同比+4.6%)。西日本FHに▲272億円と迫っている。シェアは西日本FHと同率の24.9%。
◆21年12月期の預貸率を見ると西日本FHは84.6%。ふくおかFGは82.8%。九州FGは77.3%となっている。九州FGの20年12月期は上位2社より10%程度低かったが、その差は5%程度にまで縮小している。

(2)    九州地銀17行の預貸金残高順位表について
<貸出金残高について>

◆貸出金残高トップは福岡銀行で、前年比1,560億円増の11兆1,892億円(同比+1.4%)。
・2位は西日本シティ銀行で、前年比655億円増の8兆2,839億円(同比+0.8%)。
・3位は肥後銀行で、前年比1,512億円増の3兆9,713億円(同比+4.0%)。十八親和銀行を抜いて3位になっている。
・4位は十八親和銀行で、前年比▲2,318億円の3兆9,295億円(同比-5.6%)。4兆円割れ。
・5位は鹿児島銀行で、前年比644億円増の3兆8,685億円(同比+1.7%)。グループの肥後銀行との差は拡大している。
・6位は宮崎銀行で前年比828億円増の2兆2,299億円(同比+3.9%)。
・7位は佐賀銀行で前年比222億円増の1兆9,989億円(同比+1.1%)。
・8位は大分銀行で前年比1,041億円増の1兆9,790億円(同比+5.6%)。宮崎銀行に迫っている。
・9位は熊本銀行で前年比78億円増の1兆8,189億円(同比+0.4%)。競合する肥後銀行との差は拡大している。
・10位は北九州銀行で前年比345億円増の1兆2,761億円(同比+2.8%)。
・11位は南日本銀行で前年比9億円増の5,918億円(同比+0.2%)。同行から1兆円以下の銀行。
・12位は筑邦銀行で前年比17億円増の5,382億円(同比+0.3%)。
・13位は宮崎太陽銀行で前年比100億円増の5,278億円(同比+1.9%)。
・14位は福岡中央銀行で前年比▲12億円の4,271億円(同比-0.3%)。
・15位は豊和銀行で前年比32億円増の4,176億円(同比+0.8%)。
・16位は長崎銀行で前年比149億円増の2,772億円(同比+5.7%)。
・17位は佐賀共栄銀行で前年比11億円増の1,986億円(同比+0.6%)。

<預金残高について>
◆預金残高トップは福岡銀行で前年比6,496億円増の13兆1,394億円(同比+5.2%)。
・2位は西日本シティ銀行で前年比4,394億円増の9兆8,272億円(同比+4.7%)。
・3位は十八親和銀行で前年比1,339億円増の5兆5,738億円(同比+2.5%)。貸出金は4位。
・4位は肥後銀行で前年比2,013億円増の5兆2,704億円(同比+4.0%)。貸出金は3位。
・5位は鹿児島銀行で前年比2,428億円増の4兆7,934億円(同比+5.3%)。
・6位は大分銀行で前年比1,800億円増の3兆4,633億円(同比+5.5%)。貸出金は8位。
・7位は宮崎銀行で前年比1,842億円増の2兆9,478億円(同比+6.7%)。貸出金は6位。
・8位は佐賀銀行で前年比1,437億円増の2兆7,811億円(同比+5.4%)。貸出金は7位。
・9位は熊本銀行で前年比559億円増の1兆6,435億円(同比+3.5%)。
・10位は北九州銀行で前年比435億円増の1兆2,574億円(同比+3.6%)。
・11位は筑邦銀行で前年比287億円増の8,236億円(同比+3.6%)。貸出金は12位。同行から預金残高は1兆円以下となっている。
・12位は南日本銀行で前年比103億円増の7,880億円(同比+1.3%)。同行は譲渡性預金を受け入れていない。貸出金は11位。
・13位は宮崎太陽銀行で前年比208億円増の7,383億円(同比+2.9%)。同行も南日本銀行と同様に譲渡性預金はゼロ。
・14位は豊和銀行で前年比▲34億円の5,696億円(同比-0.6%)。貸出金は15位。
・15位は福岡中央銀行で前年比26億円増の5,624億円(同比+1.4%)。貸出金は14位。
・16位は長崎銀行で前年比124億円増の2,659億円(同比+4.9%)。
・17位は佐賀共栄銀行で前年比▲30億円の2,494億円(同比-1.2%)。

<預貸率について>
◆九州地銀17行の21年12月期の平均預貸率は79.6%となっている。この平均預貸率を超えている銀行は7行で、下回っている銀行は10行となっている。
・100%を超えるオーバーローンの銀行は3行。熊本銀行110.7%。長崎銀行104.2%。北九州銀行101.5%。長崎銀行は上昇しているがいずれも金融グループの傘下銀行であり問題はないようだ。
・一方預貸率が70%を割っている銀行は2行。大分銀行57.1%、筑邦銀行65.3%。両行とも預貸率の改善が大きな課題となっている。

<まとめ>
 九州地銀17行の貸出金残高は43兆5,235億円。そのうちふくおかFG傘下3行の合計は16兆9,376億円でシェアは38.9%。西日本FH傘下2行の合計は8兆5,661億円でシェアは19.7%。九州FG傘下2行の合計は7兆8,398億円でシェアは18.0%。3金融グループ傘下7行の合計は33兆3,385億円でシェア合計は76.6%となっている。
 また九州地銀17行の総預金残高は54兆6,945億円。そのうちふくおかFG傘下3行の合計は20兆3,567億円でシェアは38.9%。西日本FH傘下2行の合計は10兆931億円でシェアは18.5%。九州FG傘下2行の合計は10兆638億円でシェアは18.4%。3金融グループ7行の合計は40兆5,136億円でシェア合計は74.1%となっている。
3金融グループ7行の貸出金のシェアは76.6%。総預金のシェアは74.1%を占めている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、貸出金は前年比1.1%の微増となっている。今は、「金融グループに属さずに単独で生き残れる経営環境ではない」状況にあるようだ。

【表1】九州地銀17行(含むFG・FH)の2022年3月期 第3四半期(21年12月期)預貸出金残高順位表
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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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