【論評】吉村猛氏が改革派?!足りないリーダーの心構え
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東京の某コンサルティング会社での話。同社のオーナーは林芳正外務大臣の後援会会長を務めている。林外相にっとって東京大学の先輩にあたり、ワシントン時代からの付き合いで、30年を超えているという。
この事務所に当時、山口フィナンシャルグループの社長であった吉村猛氏が1人で相談にきていた。相談内容はITを駆使した銀行経営についてであった。オーナーは「吉村君はバリバリの改革派だったが、守旧派にパージされた」と力説。筆者は「吉村氏が改革派なのか?」と違和感を覚えた。
吉村氏が抱く指導者像の大部分は、長年にわたり山口銀行で権勢を誇った田中耕三元山口銀行頭取からくるものだろう。田中氏は愛人であった生命保険勧誘員の営業開拓を公然と支援してきた。吉村氏もまた、女性行員に公然と手をつけた。「公私混同しても許される」と錯覚したのである。
ただ、田中氏とは器量が違ったようだ。田中氏が長年、権力を維持できたのには理由がある。部下(側近の幹部)たちに、吉村氏が想像できないほどの餌をばらまいていたのだ。一方、そうした芸当ができなかった吉村氏は、守旧派たちから足元をさらわれた。つまりクーデターを許したわけである。
頭にあるのは旧態依然とした融資稼ぎだけ
山口FGの組織改正の狙いについての解説記事を掲載した。参考までに『銀行はなくなる』というエッセイを紹介する。筆者はメガバンク海外支店長を務めた元バンカーである。
「IT革命は人類史上、最大の変革を成し遂げる。過去、君臨していたあらゆる強固な組織を粉砕していく。その対照的な組織が既存の金融機関である。淘汰される運命なのだ」と説いている。将来の変化を感知する能力は秀でているようだ。
山口FGに残った守旧派たちは、時代の流れを理解できていないとみられる。「銀行支店は無用」と指摘されても、想像さえできないのだ。「貸出で利を得るのが銀行の基本スタンス」と信じて疑わない連中に経営ができるはずがない。
吉村氏に伝えたい。「あなたが次の後継者と定めていた椋梨敬介氏は、山口FGの老兵たちに監禁され、二進も三進もいかない状態にある。あなたが進むべき道は金融コンサルティング事業の会社を立ち上げて、汚名返上する姿を守旧派たちに、見せつけることである」。
【青木 義彦】
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