地場総合建設業のトップランナー、永続企業へと進化(前)
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照栄建設(株)
代表取締役社長 冨永 一幹 氏福岡県内でトップクラスの総合建設業として、地域のまちづくりに貢献し続ける照栄建設(株)。今年6月に設立50周年を迎える。国の内外を問わず混沌とした時代に突入するなか、今後100年、200年と永続するための経営戦略とは─。同社の代表取締役社長・冨永一幹氏に話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直)激動の世の中とともに
──国内外ともに激動かつ混沌とした世の中となり、より緊張感をもった行動が1人ひとりに求められています。冨永社長の所感をお聞かせください。
冨永一幹氏(以下、冨永) 2月に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、いまだ終結の道筋が見えていません。今まで通用していたことはもう過去のものとなり、常に危機に接していると認識していかねばなりません。加えて、新型コロナウイルスに代わる恐ろしいウイルスの発生や甚大化する自然災害など、人為・天為ともに想定以上の苦難が待ち受けていると予想されます。危機に備え対策を講じながら、希望の光を見出していく行動を実践することが肝要です。我が社でもことあるごとに互いに議論しています。
──住宅ローン金利が1%前後の水準ですが、住宅の購入への影響はどうでしょうか。
冨永 現況の住宅ローン金利は低水準ですね。今後、購入されたときの金利が変動した場合、支払いに対応できるのかが懸念されます。現代のように、どなたでも家を購入できるというのはすばらしい時代である一方、今後想定される“有事”が勃発したとき、資産価値などがどうなってしまうのか。そうなると、賃貸で暮らす方が良いとも考えられます。
──建設業も今までと同じ行動指針では、生き残れないのではないでしょうか。
冨永 おっしゃる通りです。建設業は今後、生存競争がより激化し、顕在化していくことが予想されます。建設業は確実に大きく変わっていきます。なぜなら、人口減にともない働き手も減少していくからです。一方で、国内の企業数が飽和状態であることも事実です。企業数が多過ぎて、働き手が分散されてしまっています。建設業もしかりで企業数が過多です。今後5年、10年で建設業の企業数は間違いなく減少していきます。減っていく要因として、後継者問題、コロナ禍などによる市況の変化、有事勃発などが挙げられます。建設業に限らずほかの業界も、現在の50%前後の企業数に絞られてくるでしょう。一番の要因は後継者問題です。倒産ではなく廃業です。一例を挙げますと、我が社の近くにあった郵便ポストがある日突然、撤去されていたのです。いつ撤去されたのかはわかりません。郵便物が減少して、そこにポストが要らなくなったのです。つまり必要とされなくなったのです。建設業においては2012年から現在まで、好況が続いています。しかし今がピークで、今後は確実に減少していきます。
──市場規模は縮小していますが、建設業は社会に不可欠な存在であることは今後も変わりません。
冨永 はい、どのような時代に移り変ろうが、建設業がゼロになることはありません。しかし、残念ながら建設業は、いまだに社会的な地位が低いのが現状です。何か問題が発生すれば、悪いのは建設業となります。決して、そうではないのですが…。常に誰かに謝罪しているイメージがつきまとっています。私は「非がないことが明らかなら、簡単に謝るな」と社員に伝えています。全国の建設業は各地域で、相応の社会貢献を実行していますが、“ゼネコンの談合”などマイナス面ばかりが注目されています。我々も含め、業界で負の印象を払拭していくことが急務です。
(つづく)
【文・構成:河原 清明】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨永 一幹
所在地:福岡市南区向新町2-5-16
設 立:1972年6月
資本金:7,000万円
売上高:(21/5)122億4,877万円
<プロフィール>
冨永 一幹(とみなが・かずもと)
1969年生まれ、福岡県春日市出身。福岡大学大学院人文科学研究科教育臨床心理学専攻修士課程修了。2005年4月に照栄建設(株)入社。07年7月取締役社長室長、16年4月総務部長を経て17年8月1日に代表取締役社長に就任。法人名
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