【検証・長崎IR(2)】あまりにも杜撰なIR誘致計画~長崎県議も不安視
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長崎県議会の「観光・IR・新幹線対策特別委員会」は8日、県が佐世保市に誘致を目指す統合型リゾート施設(IR)の区域整備計画案を審査した。資金調達方法をはじめとした計画内容などに対し、さまざまな疑問が噴出。「国への申請を基本」としながらも、計画のあまりの杜撰さに一部県議からは不安の声が漏れている。
いまだに不明瞭な資金調達
「5年前からこのIR誘致に向けて議論してきた。締め切り1カ月前にいつでも出せる状況どころか、1週間前に申請できるかも明確にされていない」――長崎県から報告を受けたある県議は、声を少し荒げて指摘した。
区域認定に向けた整備計画の国への提出期限が28日と迫るなか、県議からは、1カ月前の審議内容からの急な変更箇所や進捗のなさについての指摘が挙がった。最も重要とされている資金調達に至っては、いまだに「最終報告を待て」としている。
県議らはあくまでもIR推進派であると前置きしつつも、この状態で国に申請して大丈夫なのかと不安視した。コンソーシアムの中核企業となるカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン(株)(以下、CAJ)とKYUSHUリゾーツジャパン(株)(以下、KRJ)に関しては既報の通りだが、この状況では不安になるのも仕方がないだろう。発表のタイミングを見計らっているのではなく、おそらく決まっていないからだ。
同委員会では、資金調達以外の面でも不明瞭、または説明不足であるとの指摘が目立った。納付金の各割当てや来訪者数の試算方法、公聴会で収集した意見への対応などだ。前回の資料を基に説明するには限界があり、ほとんどの回答は「善処」や「最終報告までに回答」だった。
一方、IR推進課の担当者には同情する部分もある。5年間の歳月をかけて計画しているとはいえ、IRに関する経験がない。だからこそ、民間の専門家などと綿密な計画を練る必要がある。一方で既報(【福岡IR特別連載78】ここにきて、疑問だらけの長崎IRの通り、CAJとKRJにはコンソーシアム中核企業として疑問を感じざるを得ない。
よほどのスキャンダルがない限り、県が国への申請を中止することはないとみられる。しかし、期日までに出せばよいというものでもない。IR誘致は次世代、次々世代の生活にも影響する一大プロジェクトだ。つぎはぎしたような計画とならなければよいが…。
【IR特別取材班】
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