サムスン電子「危機説」の真相は?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏サムスンが抱える3つの課題
サムスン電子はGOS問題で物議をかもしており、米国では集団訴訟の危機に直面している。GOSとは「Game Optimizing Service」の略で、ゲーム最適化サービスのソフトウエアを指す。
最近は高解像度のゲームが多い。かつてスマホでは簡単なゲームしかできなかった。ところが、スマホの性能向上により、鮮やかなグラフィックのゲームが楽しめるようになった。しかし、こうしたゲームはスマホに負荷を与え、熱を発生させるようになる。GOSは熱の発生を抑えるため、機器の1秒あたりのフレームやGPUの性能を意図的に落とし、機器の状態を最適化するものである。
今回GOSが問題になったのは、GOSがゲームのパフォーマンスを抑制しているだけでなく、InstagramやNetflixといった総計1万以上のアプリのパフォーマンスを制限していることを韓国のネット掲示板のユーザーが発見したことが発端となった。この問題によりサムスン電子のチップ製造技術に対する疑問がもたれることになり、市場に不安が広がっている。
2つ目の要因としてはファウンドリー事業の歩留まり問題が上げられる。4ナノ工程の歩留まり率は35%前後と噂されており、ライバルのTSMCの70%とは大きな開きがある。両社は超微細化で激しい競争を繰り広げているが、これが事実ならば、サムスン電子の前途は多難だろう。もちろんサムスン電子は歩留まりの改善に努力しているし、3ナノ工程においては、TSMCを反撃する武器をもっているとされる。
3つ目に、メモリ市場の展望が明るくないことだ。昨今メモリ価格の下落が続いている。中国のロックダウンやウクライナ戦争などが影響し、半導体需要の減少が予想されるからだ。アップルはスマホ向けの半導体で圧倒的な性能のチップを出しているし、TSMCとの差は広がるばかりで、サムスン電子は前方に立ちはだかる製造技術の壁をどのように乗り越えるかという課題を抱えている。サムスン電子が今度どのように対応していくのか、市場の注目が集まっている。
(了)
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