中国物流網寸断 自動車メーカーが操業停止へ
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連日に渡りおよそ2万人の新型コロナウイルス感染者が発生している上海市。ゼロコロナ政策が続くなか、物流網寸断し、生産に必要な部品の入荷や製品の出荷が困難となる例が続出している。短期間でロックダウンが解除されて生産活動が全面的に再開する可能性は極めて薄くなった。
上海日本商工クラブが4月15日発表したアンケート調査では、上海市内に製造拠点がある16社のうち、14社が「操業を停止している」という。非製造業も含めた53社中36社が「市外との物流が停止している」としている。
上海市内では、ソニーグループがテレビやカメラなどの工場を停止しているほか、味の素もアミノ酸や調味料など2工場を停止している。
16日、人口約1,275万人の蘇州市は移動制限を始めた。市政府は、企業に原則として在宅勤務を求める。オフィスの出入り、バスや地下鉄など公共交通機関の利用に24時間以内の新型コロナウイルスのPCR検査結果の提示を求める。蘇州市には日本企業が600余社進出している。
4月14日の夜、電気自動車メーカー「小鵬汽車」の何小鵬社長がWechatで、「上海やその周辺のサプライヤーが操業再開への道を見出せないなら、5月には国内の車両工場すべてが操業停止となる」と発表した。何社長はまた、「その一方で現在、一部の政府部門が全力で調整にあたっており、当局のさらなる支持や努力を期待している」とも表明している。
さらに、ファーウェイの消費者業務およびスマートカーソリューションのCEOである余承東氏も15日に同じくWechatで、上海が経済活動を再開しない限り、5月以降は自動車産業など上海にサプライチェーンを抱えるすべてのハイテク・工業関連が完全停止すると述べている。
自動車の2大生産拠点である上海と吉林省で3月以降、コロナにより操業を停止するメーカーが相次いでいる。
中国自動車連合会によると、3月度の会社別の生産台数について、いずれも前年同期比で一汽紅旗は73%減、一汽VWは45.8%減、上汽GMは31.3%減、北京ベンツは30.7%減、華晨BMWは51%減、上汽大通は34%減など、軒並み大幅ダウンを記録している。
電気自動車メーカー「蔚来汽車」の創始者で社長兼CEOの李斌氏は、4月9日に操業停止を発表した後、公式アプリで「新型コロナウイルスの影響で3月中旬から部品が届かなくなり、先週まで在庫分でしのいできたが、上海や江蘇省などがコロナのためパートナー各社からの納入が止まり、生産をストップする」と表明した。李氏は「こうした事態は当社だけでなく、他社もほぼ同様である」と述べている。
4月14日、蔚来汽車は改めて「サプライチェーンはやや回復しており、合肥の工場が徐々に製造を再開しているが、今後の生産計画はやはりサプライチェーンの回復次第である」と表明した。
日本での生産にも響き始めた。マツダは本社工場(広島市)と防府工場 (山口県防府市)の14日と15日の稼働をとめた。取引先工場が止まり、中国から日本への部品輸送が海路、空路ともに遅れ、部品が調達できないためだ。三菱自動車も11~15日まで、主力の岡崎製作所(愛知県岡崎市)の生産ラインを停止した。
中国で名の知られている代表的な実業家である何社長や余氏のコメントは、経済界からかなりの注目を呼び、上海のロックダウンによる経済へのダメージに強い懸念感が注がれるようになった。
これらのコメントについて、中国自動車工業協会の副事務長、および中国自動車工業経済技術情報研究所の所長である陳士華氏は、「とは言い切れない」と述べている。
陳氏は「自動車メーカーは普通、部品が途絶えた際に在庫分で通常生産を続けられる期間はそう長くないが、サプライチェーンは会社によってまちまちであり、他の方法で代替品を入手するといったかたちで生産を続けられるケースもある。しかし、上海や吉林省などで生産活動を再開できない状態が長引くとなると、確実に自動車業界全体がダメージを蒙る」と主張する。
また、中国自動車連合会の崔東樹事務局長も、「大規模な操業停止には至らないだろうが、生販は非常に苦しい状態になる」と述べている。
中国有数の自動車生産拠点である上海には、上汽乗用車、上汽VW、上汽GM、テスラなどが車両の生産工場を設けている。
4月15日の時点で、上汽グループが17日に業務再開への調査内容を報告し、18日に操業再開に向けて装置テストを始めると発表した。出勤の再開にあたり、社員に48時間ごとのPCR検査を義務付けるとしている。
上海やその周辺のサプライチェーン(供給網)の混乱が長期化すれば世界経済の波乱要因となる。中国商務省の報道官は14日の記者会見で「ウイルスのまん延が激しい地域の外資系企業を支援し、生産再開や従業員の中国への入国、物流運輸といった具体的な問題の解決に向けて調整する」と述べた。
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