中国の若者、お金で損をした経験を共有
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若者はどうやってお金を稼ぐかという話題が中国の人々の間で熱く語られている一方で、一部の若者たちは、自分たちがお金で損をした経験を密やかに共有している。SNS「豆瓣」のお金で損をした人たちのスレッド「損組」には、「損の名人」が23万8,000人以上いて、損をしたさまざまな体験や、今思い出しても胸が痛むような過去の「無駄金」を使った経験などを公開している。若者たちはどんなことで損をすることが多く、心のなかでどんな消費行動を「損失手帳」に書き込むのかといった点において、現代の若者の消費特徴を観察する1つの切り口を人々に提供している。
若者たちの「損した出来事」を通して、彼らがどうやって物事に対処しているかを見ることができ、細かくそろばんをはじくような消費習慣が若者の間で「復古」している様子も見ることができる。「損組」の人気スレッドには、手に汗握る「借金返済の督促」エピソードもあれば、節約の技を暮らしに落とし込むための「損失回避術」もある。なかには借金を踏み倒そうとする債務者を前に、主人公はあらゆる手段を駆使するが効果がなく、やむを得ず相手のSNSアカウントへ借金を返すよう公開メッセージを送り、世論の圧力によって債務者にいうことを聞かせたといったエピソードもある。こうしたエピソードは普段の暮らしのなかではめったにお目にかからないものかもしれないが、動画サイトの有料会員になったものの、どんな動画を見ればいいかわからないといったよくある「損の名人」の経験を共有することは、普通の人が暮らしのなかでしばしば経験する「手痛い問題」を鋭く指摘しているといえよう。
次々と損する経験を積んでいくなかで、「損組」の人々は損をした経験のなかから優れた実用的な節約のアドバイスを導き出している。毎回試しても失敗のない「損失防止の実践」のなかで、若者はもはやお金を使うだけ、物を買うだけの「散財小僧」ではなくなり、収入と支出をコントロールできる資産運用の達人へと変身している。節約できるときはして、できるだけ損をしないという消費原則により、人々は節制のなかにも満足感や幸福感を得られるようになっている。一部の人は「元を取る経済学」で生活を細かく指導し、たとえば自分で自動車を修理したり、コンピューターのメモリやSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を増設したりすることで、ますます高騰する各種サービスの料金節約や、必需品を買うときには会員向け優待サービスをとことん利用することなどをアドバイスしている。
消費という波に追われるような環境において、「お金を損した」という自覚は、損をしてしまってから感じることとはいえ、それでも一種の「人間としての目覚め」だといえるかもしれない。「損組」の楽しみや悩み、つらさは、現代の若者の消費主義に対する反省の気持ちをある程度反映している。暮らしのなかのやむを得ない一連の損失を除き、多くの場合、損失は実は避けられるものだ。若者たちの損をした項目を並べてみると、専門的な知識の欠如や衝動的な投資による資産運用の損失などは筆頭には上がってこないものの、実際には若者にとって最も大きな損失額をもたらしている。そして消費の心理学もまた私たちに誘惑に満ちた暗示的なビジネスの操作を明らかにしてくれる。それは買わないとものすごく損をしたような気になるメーカーが打ち出す割引や、やたらと素晴らしさを並べ立てて、消費意欲をかき立てようとする商品説明などだ。家のなかですっかりほこりをかぶったプロジェクターやスタビライザー、カメラなどの電子機器を見ると、誰もがかつて手切り族(ネット通販で過剰な衝動買いをしてしまう人々)になってまで大急ぎで購入したことを後悔していため息をついていることだろう。
「損」というのは主観性の強い言葉で、人によって利益と損失の感じ方には違いがある。しかしたしかなことは、自分のしたことによって損をしたと感じたときには、認識のなかで理性が優位に立ち始めたという点だ。コストと収益を評価し、選択した損失をはかりにかけることは、利益を求め、損害を避けようとする気持ちの表れであり、若者だけの専売特許ではない。嘘偽りのない実感のこもった経験の共有により、「損組」はまるでエピソード集のようになり、一部の実害のない笑い話は、多くの人に何倍もの楽しさを与えることができる。誰かの思い出したくない経験や良くない消費習慣を通して、私たちは思いをめぐらし、より良い生活をつくり出していくことができる。そして私たちは自分の家計簿は自分でコントロールしたいと考え、衝動に駆られて、押し寄せる波に追い立てられるような消費はしたくないと考えるようになるだろう。
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