【福岡IR特別連載82】長崎IRの区域認定申請書の全計画数値は詐欺まがい
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すべての計画の根拠は「年間集客者673万人」
添付資料(1)には、米国のIR投資企業「Bally's Corporation」(以下、Bally's)が3月30日に行った記者会見で、報道陣に提示・解説したデータを記載している。一方、長崎IRの数値は、4月27日に長崎県が国に提出した「区域認定申請書」から抜粋したものだ。
福岡IRの資料を作成したのは、世界的に有名な米国のアナリスト(Pro Forma Advisors)で、事業主であるBally'sからの影響を一切受けていない。一方、長崎IRの資料を作成したのは「行政御用達」、忖度だらけの「日本型業者」だと思われる。
福岡IRが開業から5年目(2031年度)の年間集客見込みを、474万人としているのに対し、長崎IRは673万人に設定している。巨大な後背地人口(添付資料(2)参照)を有する福岡IRの集客計画より長崎県佐世保市のほうが多く集客できると計画しているのだ。673万人という数値の根拠は何だろうか。基本的に目的地まで1時間以上かかるとリピート率が極端に落ちると言われているのだが…。
また、海外からの訪問者の割合は、福岡IRが全体の4%に当たる16万人なのに対し、長崎IRは全体の22.4%の151万人で、福岡IRの約10倍となっている。福岡IRの場合、中国・習近平政権による「海外カジノ観光規制」や、コロナ禍の影響を踏まえている。しかし、長崎IRは、申請前に担当者が県議会で、「中国、韓国などの海外観光客を本件計画に予定している」と公言するなど、とんでもなく杜撰な計画なのである。
長崎IRの関係者は、何をどう調査してこのような計画をたてたのだろうか。誠にお粗末な行政先行の計画である。こんな杜撰な計画は、民間企業では見たことがない。
長崎県が国に提出した「区域認定申請書」は本文だけで198ページある。しかしながら、すべての「計画数値の根拠」は、「年間集客計画673万人」をベースに計算されたものである。あまりにもひどすぎて、解説する気にもなれない。
長崎県行政とカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパンは、いまだに資金調達先を明らかにしていない。これも大きな問題である。反社会的な組織が入っていたらどうするというのか。長崎県議会や関係者は一体、何に忖度しているのだろうか。
長崎IRは、「年間集客計画673万人」という根拠が崩れると、すべてが崩壊してしまう。売上や利益なども、すべてこの年間集客計画を基に計算されており、単に数合わせをしただけの「区域認定申請書」なのだ。
ハウステンボスが過去3度にわたり閉鎖危機に陥ったことは記憶に新しい。その後のHISによる経営においても、年間入場者が300万人を超えたのは1度のみ。しかし、IRを誘致すれば、それが673万人になるという、おそろしく杜撰な計画の基に区域認定申請書を提出しているのだ。
また、コロナ禍前の19年の訪日外国人旅行者3,188万人のうち、長崎県を訪問した旅行者は約2%の約62万人(宿泊者実数)だ。これが年間151万人に増えるという計画を誰が信用するというのか。
長崎県行政・議会及び関係者は「恥の上塗り」をしたうえで、「墓穴」を掘ってしまったと言うほかない。近い内にこうした根拠のない計画が原因となって長崎IRは崩壊すると断言できる。
【青木 義彦】
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