アビスパ、GWは3戦2勝 躍進のきっかけつかむ
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サッカーJ1リーグアビスパ福岡は、ゴールデンウイーク期間中の4月29日にアウェーで京都サンガ戦、5月3日にホームFC東京戦、5月7日はホーム湘南ベルマーレ戦を行った。
ここまで高い守備力で失点を抑えながらも得点を奪えず勝ちに恵まれなかったアビスパ。とくにホームではリーグ戦未勝利で、ベスト電器スタジアムのサポーターと喜びを分かち合うシーンが待ち望まれていた。
その期待に見事にこたえたのが、3日のFC東京戦だ。4月29日の京都サンガ戦で5試合ぶりの勝利を挙げたアビスパは、その勢いをそのままFC東京戦に持ち込んだ。先発メンバーは京都戦とほぼ同じで、変更点はDFドウグラス・グローリに代わってDF宮大樹が出場したことだ。
FC東京の注目選手は、高校を卒業したばかりのMF松木玖生。2024年のパリ五輪を目指すU-21代表メンバーにも選ばれ、若手のホープとして期待が高い。攻撃陣はFWディエゴ・オリヴェイラ、FWレアンドロ、FWアダイウトンのブラジル人アタッカー3人がそろい踏みし、攻撃的な編成だ。一方で守備陣は東福岡高校出身の日本代表DF長友佑都が先発したものの、故障者続出で本職のセンターバックが不在。普段はサイドバックを務めるDF小川諒也がセンターバックに入っている。
4分、試合は早くも動く。立ち上がりからフリーキックやコーナーキックを獲得したアビスパは、2本目のコーナーキック後のゴール前の混戦からFWフアンマ・デルガドが詰め、さらにこぼれたボールをDF宮大樹が押し込んで先制点を奪った。
しかしFC東京も負けてはいない。24分、アビスパDF志知孝明がGK村上昌謙に送ったパスがやや短くなったのを見逃さなかったのが、MF松木玖生だ。MF松木はボールを奪うと、懸命に前に出るGK村上を冷静にかわしてシュート。ボールは無人のゴールに収まり、MF松木はプロ初ゴールを挙げた。
これで試合は一気にヒートアップ。FC東京がFWアダイウトン、FWディエゴ・オリヴェイラらのテクニックと強さ、速さで攻撃を仕掛けるのに対し、アビスパは組織的な守備でパスコースを限定し、ボール奪取を狙う。形勢はややFC東京の優位で推移した。
だが、次のゴールはアビスパに生まれた。39分、相手ペナルティエリアでボールをもったMF北島祐二が倒されると、そのボールをFW山岸祐也が獲得。そのままドリブルでエリア内に侵入し、左足を振り抜いて2試合連続のゴールを決めたのだ。
2-1でリードして試合を折り返したアビスパの長谷部茂利監督は、後半開始時に素早く交代カードを切る。FWルキアンとMF田中達也の投入だ。そして、この交代策がすぐに結果につながる。48分、MF田中達也が左サイドを突破し、クロスボールを送るとこれをFWルキアンが完璧なヘディングで合わせ、リーグ戦初となるゴールを奪う。
試合後の記者会見で、FC東京のアルベル監督が「これで攻撃的にプレーし続けることを強いられ、その都度アビスパの武器であるカウンターの餌食になった」と振り返ったように、FC東京は2点差を覆そうと攻撃に重点を置くが、これはアビスパの思うつぼ。62分にはFW山岸、さらに72分にはFWルキアンがそれぞれこの日2点目を奪い、合計で5得点を挙げたアビスパが5-1で快勝。ゴールデンウイーク期間中ということもあり、9,000人近く訪れたファン・サポーターにすばらしい試合を届けることができた。
7日の湘南ベルマーレ戦は引き分けに終わったものの、これでGW期間は3試合で2勝1分け。順位は11位となり、上位を目指す位置に返り咲いたといえる。ガンバ大阪や浦和レッズ、名古屋グランパスなど強豪チームを上回る順位は立派だといえるだろう。
このGW三連戦では、どうしてもFC東京戦の5得点が注目されるものの、その基盤となったのはあくまでも強固な守備。「よい攻撃のためのよい守備」を、すべての選手が意思統一して遂行できるのがアビスパの強さだ。
これからも一歩一歩、「J1定着」という目標へと進んでいくアビスパの姿を、ベスト電器スタジアムやテレビの前で応援しよう。
【深水 央】
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