BIS研究会、谷口元国連大使「新たな国連」を提言
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日本やドイツは平和に貢献、「敵国条項の廃止を」
日本ビジネスインテリジェンス協会(中川十郎理事長)は10日、「31周年記念第176回情報研究会」を衆議院第一議員会館で開催した。ウクライナ危機や日本の人口減少といった時事問題、経済・文化などの幅広いテーマについて9人の識者が講演。オンラインでも多数の関係者が参加した。
谷口誠元国連全権大使はウクライナ戦争について、「第二次世界大戦後に世界が経験したキューバ危機以上の世界に破滅をもたらすような危機だ」と懸念。冷戦後は東西の指導者の人的関係が見られたが、「現在はプーチン大統領と胸襟を開いて話し合える人(西側の指導者)があまりいない」ことを問題視した。
谷口元大使は国連の在り方にも言及。第二次世界大戦の戦勝国である5大国のみに拒否権があることに対し、「日本やドイツなどは世界平和に尽くしている。国連憲章の敵国条項(第二次世界大戦の敵国には権限を与えない)は廃止すべきだ」と訴えた。むしろ5大国が世界平和を乱しているとし、「拒否権の在り方も含めて新たな国連をつくる必要がある」と提言した。
人口減少に海外人材の循環型活用で対応
ヒト・コミュニケーションズ顧問の平木良一氏は、「産業人材流動化と企業再生」をテーマに講演した。イーロン・マスク氏が、人口減少によって将来的に日本が存在しなくなるとツイートしたニュースを紹介し、今後は国際的な人材の移動が課題になると述べた。
日本は人口減少に対応するため、海外の人材を活用する必要があると指摘。ただし、「賃金も上がらないし、成長性もない日本へ移民してもらうことは考えられない」という。一方通行の人材の移動ではなく、「日本で働いて学んでもらい、学んだ技術を本国で生かしてもらうというビジネスモデルを構築できないか」との考え方を示した。
平木氏は日本が抱える課題の1つに、人口の減少と、それによる中小企業の後継者、技能の継承者の不足を挙げた。これを解決するために、「循環型ビジネスモデル、アジア人材の循環型活用、アセアン経済と(日本の)産業界のマッチングが大切になる」と話した。
政治・社会問題のほか、「文化と日中関係」(画伯・藤島博文氏)、「アーユルヴェーダ実践」(米カリフォルニア州認定セラピスト・小林美智氏)、「私の仏教的情報収集法」(武蔵野大学客員教授・村石恵照氏)など多彩な講演があり、活発な質疑が行われた。
【木村 祐作】
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