2024年11月23日( 土 )

【福岡IR特別連載84】日米首脳会談の基軸はさらなる経済安全保障問題

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IR誘致開発事業は米国系カジノ企業が必須

ラスベガス イメージ    筆者はこの連載の当初から、IR誘致開発事業は米国系の投資開発企業にしかチャンスはないと繰り返し解説してきた。中華系やカナダ、欧州系の企業は“蚊帳の外”であると何度も主張してきた。

 具体的には「大阪IRのMGMリゾーツ・インターナショナル」と「福岡IRのBALLY’S CORPORATION」の米国系2社しかチャンスはない。長崎IRのカジノ・オーストリア・インターナショナルにはチャンスがないといえる。なぜ、皆このことを理解できないのか。

 表に出ているIR関連法は、最初からその主旨と対象が、日米政府間で決められた目的の建て付けとなっているのだ。従って、水面下では「安倍・トランプ密約」の米国カジノ企業誘致から始まって、現在の岸田政権まで継承されている。

 当初、一部のマスコミがこれらを悟って報道していたが、コロナ禍で最近ではどの報道機関も触れないようになった。長崎県と県議会、それに協力している九州財界関係者の一部も、いまだにこのことを全く理解していないようだ。最初は中華系を選択していたが、日米経済安全保障の問題に後から気付き、やむなく現在のカジノ・オーストリアとなったのだ。「岸田・バイデン会談」で示されたより強い絆の日米間の経済安全保障を見ると、これらは容易に判断できる。各報道機関もお粗末なものだ。

長崎IRの崩壊、地元紙、週刊誌まで各社が酷評

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 ここにきて、地元の長崎新聞から全国的な報道機関までが、長崎IRの区域認定申請後の諸々のお粗末さについて報じ始めた。本来ならば長崎新聞などは、県に恥をかかせないために申請前に指摘すべきであったろう。

 先日行われた民間先行の福岡IRのBally's記者会見については、地元マスコミは恣意的な報道(長崎IR関係者に忖度)に終始し、在福岡米国首席領事のすばらしいメッセージなどは伝えなかった。

 5/23付のデイリー新潮では、長崎IRの区域認定申請は、申請前に県議会で否決された和歌山IR以上の資金調達の疑念があると酷評している。当然、長崎新聞も著名な「プロの意見」まで掲載して、これまでの経緯を翻して酷評した。筆者がこの連載で指摘してきたことが、各メディアの参考になったのではないかと自負している。

 当然、これらの報道は、筆者が前々号で開設している長崎IRの「673万人」という天文学的な年間集客計画数が全ての根拠となっていて、各社はこの無謀な計画は資金調達不可能であり、全てを崩壊させるとしている。加えて、米国不動産資金仲介業の「CBRE」に対しても、以前から一切役に立たないことを指摘していた。

 長崎新聞などの各マスコミは、これらにもっと早く気付くべきだった。地元の行政や議会、九州財界の一部に恥をかかせず、墓穴を掘らずに済んだからだ。問題の根底にあるのは、全ての関係者が無知で、各組織がお粗末であるためで、その結果であろう。ここまでは筆者の予測通りの展開であり、近日中に長崎IRも間違いなく崩壊するだろう。

 改めて説明するが、誘致開発事業は巨大な後背地人口を有する東京都中心の関東都市圏、大阪市中心の関西都市圏、福岡市中心の北部九州都市圏の3カ所しか採算が取れない。観光客主体の事業計画などは民間企業ではあり得ない。これは民間のビジネスマンなら誰もが理解していることである。

 今回の世界的なコロナ禍がそれを証明している。海外からのインバウンドや、国内観光客などはあくまで2次的なもので、これをあてにした事業計画などは「絵に描いた餅」に過ぎない。

【青木 義彦】

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