赤字が解消せぬうちの不動産投資で経営は改善されるのか
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医療法人社団益豊会
医療法人は利益を事業の目的とするものではないが、地域に適切な医療を提供するためには安定した自己資本体質が必要だ。メンタルヘルスケアを中心とした誠実な医療の提供を掲げる医療法人社団益豊会にも、その姿勢が求められている。
資産も増えたが負債も増えた
医療法人社団益豊会は1997年9月、現理事長の深堀元文氏が同所在地で今宿病院として創業。2006年に改組したものである。診療科目は内科、心療内科、メンタルヘルス科。精神病床167床を持つ。11年に福岡市博多区に博多祇園クリニックを、15年には今宿病院に認知症デイケア、スマイルガーデンと精神科デイケアのパームガーデンを開設。深堀氏は13年に精神保健福祉事業功労者として福岡県知事から表彰を受け、著書本の出版、テレビのコメンテーターなど幅広い分野で活躍している。経営については毎年事業収益10億円以上を持続しているが、近年赤字経営が続いている。11年12月期に事業収益11億4,994万円に対し、当期純利益が▲2,584万円となった。その後も12年12月期▲2,031万円、13年12月期▲1,847万円と3期連続当期赤字を計上。さらに14年12月期も事業収益11億7,850万円に対し当期純利益▲2,817万円となり、4期連続当期赤字となった。賃借対照表上では資産12億6,610万円に対し負債総額12億9,382万円となり、▲2,762万円の債務超過となっている。負債の大部分は長期借入金でありその額11億2,353万円。13年までの長期借入金が多くても4億円台だったことに比べるとその額は大きい。
不動産購入で資金繰り悪化
同会の本拠地である今宿の現地番は、1987年より深堀氏の前職場である田川市の医療法人和光会が所有していたものだが、2009年より深堀元文氏他1名が共有者となり、14年3月からは医療法人社団益豊会が買取所有権を獲得している。これを担保に長期借入を行い設備投資に出たとみられるが、赤字が解消しないうちに多額の長期借入を行ったことを懸念する声もある。
金融機関は同会について「コメントすることはない」としているが、長期借入金の返済が経営に影響を与えることは必至であろう。病院の発展および展開には設備投資も必要だが、同じく利益も欠かせないことを、真摯に受け止めてほしいものである。■医療法人社団益豊会
代 表:深堀 元文
所在地:福岡市西区今宿2-12-7
設 立:2006年12月
資本金:6,000万円
業 種:精神科病院、無床診療所
事業収益:(14/12)11億7,850万円仕入先:アトル、アステム、翔薬
販売先:一般個人
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