健康食品用カプセルの回収問題、厚労省が事態収拾へ
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目的外使用で食品衛生法違反
健康食品用カプセルの有力メーカーによる自主回収が、健康食品業界に波紋を広げている。食品衛生法に違反するとして、内容物(食品素材)を充填する前のカプセルの自主回収が始まったが、内容物を入れた最終製品については販売各社の判断に委ねられたからだ。厚生労働省は近く見解を示し、全国統一の対応を求める方針を固めている。
カプセルメーカーのクオリカプス(株)(奈良県大和郡山市)は先月下旬、健康食品用カプセル3製品の自主回収を発表した。
カプセルの成型では、ゼラチンなどを溶解してゼリー状にし、成型ピンに付着させたゼリーを乾燥させた後、成型ピンからカプセルを抜き取る。その際、抜き取りやすくするために成型ピンに離型剤を湿布する。
同社は離型剤の成分に「流動パラフィン」と「二酸化チタン」を使用していたが、食品衛生法で禁止する目的外使用に当たることが判明。保健所の指導に従って自主回収を決定した。
頭を抱える取引先企業
同社による自主回収は、内容物を充填する前のカプセルが対象。食品素材を充填済みの最終製品については対象外となる。
カプセルが食品衛生法に違反するならば、内容物が入った最終製品も自主回収の対象になると考えられる。ところが、同社を指導した郡山保健所によると、同社からカプセルを仕入れた取引先企業が、各地域の保健所に相談して個別に判断することになるという。取材に対し、郡山保健所の担当者は「食べてすぐに健康被害が出るわけではないので、判断が難しい」(衛生課)と話している。
同社のカプセルを使用する販売会社は、大手から中小まで多数に上る。各社は自主回収するかどうかで頭を痛めているようだ。ある企業の関係者は「自主回収をめぐって社内で意見が分かれている」と打ち明ける。別の企業からは、「他社への切り替えによって、カプセルの需給がタイトになっているようだ」という声も聞かれる。
厚労省「指導内容が異なるようにはしない」
多くの取引先企業では、地元の保健所に相談しながら今後の対応を検討中とみられる。それぞれの保健所の判断が異なれば、食品衛生法違反で自主回収する健康食品もあれば、販売を続けるケースも出てくるという、ちぐはぐな状況が生じる。
そうした懸念があるため、食品衛生法を所管する厚生労働省は事態の収拾に乗り出す構えだ。取材に対し、同省の担当官は「充填済みの製品も含めて情報収集しているところであり、現時点で回収すべきかどうかは回答できない」(医薬・生活衛生局食品監視安全課)と説明。ただし、「保健所によって指導内容が異なるようにはしない。何らかの結論を出したい」とし、近く一定の見解を示す方針を固めている。
【木村 祐作】
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