福島原発事故汚染の調査論文が国際原子力機関サイトに掲載・紹介~千葉茂樹氏
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福島原発事故の記事を寄稿していただいている千葉茂樹氏(福島自然環境研究室)より、「IAEAのwebサイトに私の論文が掲載・紹介された」との連絡があったので共有する。なお、以下の文面は、千葉茂樹氏が原発事故研究グループ内に送ったメールを再構成したもの。
なお、千葉茂樹氏の他の論文もIAEAのwebサイトに掲載・紹介されている(最下段の「プラズマ---」論文は同姓同名の別の著者によるものとのこと)
千葉氏は2011年3月の原発事故の直後に環境の激変・身体的変化から体調の変化を予測、「ただ殺されてはたまらない」と、原発事故の調査を始めた。
今年、5月7日にガンの陽子線治療を終えた(63グレイ照射)。予定では、ガン細胞のDNAを陽子線で破壊し、現在はガン細胞が徐々に死滅し正常細胞に置き換わっているはずであり、経過観察中で月末に検査を控えている。原発事故の際に放射性物質が入ったと推察できる左目も視力が急減、9月下旬に東京で手術を受ける予定という。
福島自然環境研究室 千葉 茂樹
‘The radioactive contamination due to Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident. The state of the contamination 2019 in Nihonmatsu City and “black soil” contaminated by radioactive materials’(https://inis.iaea.org/search/search.aspx?orig_q=RN:52108199)
この論文は、2019年の二本松市中心部の空間線量率および黒い土に関する論文です。この論文は、印刷されるまで困難な道のりが続いた論文(いわく因縁付き論文)です。もともとは、ある地質学系学会の学会誌の編集委員長から、同年夏に直接投稿を依頼された「依頼(原発事故関連論文の同学会誌への寄稿依頼)原稿」でした。
ところが、20年春に、実際に原稿を投稿すると、「査読者4名から難癖を付けられて、何度修正しても受理されない」という事態になりました。私は精神的に追い詰められ、20年8月20日に原稿を取り下げました。「依頼原稿」なのに、ひどい扱いを受けました。
直後から、他のいくつかの学会に投稿を打診しました。拾っていただいたのが「環境放射能除染学会」でした。論文自体が19年の調査内容でしたので、20年内に印刷していただける「寄稿」というかたちにしました。
二本松市2019年調査の論文(PDF)、カラー版(PDF)NetIB News(福島第一原発事故による放射性物質汚染の実態~2019年、福島県二本松市の汚染の現状と黒い土)での紹介
同様の「いやがらせ」は、高い放射線を出す「黒い土」の論文でも起きていました。こちらは鈴木和博氏(名古屋大学名誉教授)が筆頭著者で、鈴木氏が16年に、諏訪氏が20年に逝去したため、私が書き直して21年に学会誌に掲載していただいたものです。
黒い土論文(PDF)。こちらは、2016年には印刷されるべき論文でした。学会の論文審査をめぐる問題については、NetIB News(福島第一原発事故後に見られた「黒い土」はなぜ高い放射線を出したのか?~原因を解明した論文が公開(後))を参照。実は、この論文は2016年の投稿時点では2編からなり、対となる原稿があります。リジェクト(掲載不可)された「私が筆頭執筆者の原稿」は「福島県内の黒い土の野外産状の記載とその考察」で、執筆の2015年当時は重要でしたが現在は旬でなくなったためそのまま眠っています。
以上のように、原発事故関連の論文は、印刷してもらうのが大変な状態です。関連キーワード
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