2024年11月22日( 金 )

統一教会改称で野党ヒアリング復活、立民泉氏の意気込みが具体化(後)

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    ──下村さんも安倍さんも、2人とも(統一教会の霊感商法被害を)見据えなかったと、直視しなかったと。

 前川 だから、知っていたのではないかと思いますよ。統一教会がどういうことをやってきたのかということは。下村さんに関していえば、文化庁が下村さんに説明したときに、霊感商法対策弁護士連絡会からの申し入れの話がなかったはずはないと思うのですね。「これは、こうやって名称変更しないでくれ」という声がありますと。これは、むしろ部下たる者が上司に言わないといけない情報であって、その話が大臣に伝わっていないはずはない。大臣宛てのものが仮に大臣に届いていなかったとしても、文化庁宗務課には届いていたわけですから、宗務課が説明するときに大臣には「これはこういう問題が裏にありますよ」ということは必ず言いますよね。これ(名称変更)を認証することはどういう影響をおよぼすのかということは当然、説明しますよね。「(名称変更を認めたら)必ず弁護士の人たちが抗議しますよ」ということは当然分かる。それを大臣に当然、説明するはずですから、それを知らなかったというのはちょっとあり得ないと思いますよね。

 ──そうすると、(統一教会が)選挙で応援してくれるので、自民党安倍政権、(文科大臣だった)下村さんは「大目に見ようか」と。「(名称変更を)認めてしまおうかな」と。そういう“アベ友(教団)政治”の一環のような気もしますが。

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 前川 まあ今度、飲みに行ったときにそういう話をしましょう(笑)。やはり政治家と教団の間に貸し借り関係があるだろうと。貸しがあれば、借りもあると。借りがあれば、借りを返すと。こういう関係は必ず出てくるでしょうから。だから(選挙で)ものすごくお世話になっているのなら、逆に同じくらいお世話をするでしょう。それは、とくに与党の政治家に多いパターンだと思います。

 まさに貸し借り関係(ギブ・アンド・テイクの関係)とはこのことだ。自民党への選挙支援の見返りに、旧統一教会への便宜供与(名称変更やイベントへの祝辞や霊感商法の野放し)をしてきたとしか見えない。この蜜月関係が銃撃事件の誘因になったのは間違いないのだ。

 なお、旧統一教会の選挙支援については、NetIB-Newsの7月11日付記事「安倍元首相銃撃 旧統一教会の“広告塔”を狙った計画的犯行?」で紹介。ここで登場する井上義行参院議員(当時は自民党全国比例の候補者)が、「井上先生は食口(信徒)になりました」と紹介された支援集会の様子は、民放各局が繰り返し紹介している(筆者が素材を提供)。

 しかし、井上氏は「信徒でなく賛同会員」と週刊文春などで反論、離党も議員辞職も否定しているのだ。

    銃撃事件から15日後の7月23日、清和会(安倍派)事務総長の西村康稔・前ワクチン担当大臣を直撃、井上議員の処遇について「井上義行先生、清和会(安倍派)に入れるのか。旧統一協会の支援は問題ないのか」と聞いてみた。「鴻巣市長選(7月24日投開票)」の自民推薦候補への応援演説を終えたときのことだが、西村氏からは「事実を知らないので、すみません」という回答しか返ってこなかった。

 井上氏支援集会の様子は民放各局が何度も紹介していたのに、安倍派事務総長・西村氏は事実関係の確認を怠っていたのだ。唖然としながら筆者は声かけ質問を継続。「旧統一協会の支援を受けた井上義行議員、清話会に入れたままなのか。脱会、離党させないのか。何でもいいから当選させればいいのか。清和会と旧統一協会、ズブズブの関係ではないか」「一言お願いします。清和会の事務総長でしょう」と聞いたが、西村氏は一言も反論することなく、車に乗り込んで走り去ったのだ。

 自民党と旧統一教会の貸借関係を断ち切るには、井上氏のような選挙支援を受けた議員への処分が試金石になるような気がするが、現時点ではその姿勢はまったく見て取れなかったのだ。

 野党合同ヒアリングが復活した3日後の8月9日、第2回合同ヒアリングが開催され、統一教会の名称変更問題に加えて国葬問題も取り上げられた。参院選敗北を受けて泉代表は「政策提案型」から「対決型」への軌道修正、旧統一教会をめぐる与野党の論戦が激化することは確実だ。岸田政権の支持率が減少していくなか、自民党と統一教会の関係がどこまで明らかになり、具体的なカルト規制にどうつながっていくのかが注目される。

(了)

【ジャーナリスト/横田 一】

(前)

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