コロナ禍3年目での反転攻勢 盤石な体制を構築し、次の未来へ(後)
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(株)ホテルオークラ福岡
代表取締役社長/総支配人
杉山 良太 氏新型コロナウイルス感染拡大の第7波により全国の1日感染者数は25万人に迫り(8月3日時点)、収束の兆しは見えてこない。6月23日に(株)ホテルオークラ福岡の代表取締役社長に就任した杉山良太氏にコロナ禍の影響と今後の見通しを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)新たな顧客の掘り起こしを
──今後、結婚式需要は戻るとお考えですか。
杉山 目標をどこに設定するかで変わってくるとは思いますが、コロナ禍以前から、競合他社が増えていますし、お客さまの志向も変わってきていますので、ブライダルに関していうと、過去と同じような目標を設定するのはナンセンスではないかと個人的には思っています。もちろん、今後もブライダルに力を入れていく方針に何ら変わりはありません。現在のお客さまは、ホテルウェディングよりもゲストハウスでの挙式を好まれる傾向にありますが、そう言った状況でも頑張っているホテルはたくさんありますし、我々もお客さまにご満足いただける結婚式を今後も提供し続けます。
──世間の目を気にして、周年パーティーなどの行事を自粛している会社が目立ちます。その分を社員への福利厚生に回している会社もあるようです。
杉山 昨年末、「社員への福利厚生に」と、当ホテルのおせち料理を社員1人あたり2つ注文してくださった社長さんがいらっしゃいました。これまで行ってきたパーティーが開けず、社員の皆さんの「おうち時間」が増えたということで、経営者の方々は社員さんへの労い方をいろいろと工夫されているようです。我々はそういう面でも、もっとお役に立てるのではないかと考えています。
──百貨店に若い人が行かなくなったのと同様、オークラで一流の味を楽しみたいという若い人が減っているように感じます。
杉山 メイン顧客と呼ばれる人の年齢層が上がってきており、そこは福岡に限らず、オークラ全体の弱い部分かもしれません。若い顧客の掘り起こしが十分にできていないのは、我々の努力不足にほかなりません。
──新しい客層を開拓していくために「やっておかなければ」という具体的な取り組みは?
杉山 やはりレストランがお客さまにとって身近な利用機会となるのですが、現在のところ、通常営業に戻せていない状況です。お昼に営業していたレストランを夜だけにしたり、それまでになかった定休日を設けたりしているので、今後の感染の状況次第ではありますが、通常営業を再開して初めてスタート地点に立てると考えています。
専門性を高めたうえで、視野の広い人材の育成を
──以前、外注していた業務を内製化したという話を聞きましたが、現在も内製化しているのですか。
杉山 現在もやっていますが、今後、需要が回復していくのにともない、外注に戻していく必要があると思っています。私は、過去との比較ができないため断言はできませんが、内製化して社員1人ひとりが複数のタスクを担うようになったため、以前にも増してスキルが上がっているのではないかと思っています。
もちろん専門性を極めることは大切です。教育という点においては、スペシャリストを育てていきたいという思いはありますが、スペシャリストであっても視野を広く持ってほしいと思っています。自分の担当業務だけではなく、ホテル全体のことを俯瞰して動けることは非常に大事です。1つひとつの業務に従事するにしても、視野が広くて専門性があるのと、視野が狭くて、自分が担当している業務しかわからないというのでは、両社の間には雲泥の差があります。ホテル全体を俯瞰して見られる視野の広い人材を育成していきたいという思いは強いですね。
──社員の方々を見ていると、オークラで働くことの誇りをもたれている方が多いという印象があります。
杉山 多くの社員がそうした誇りをもっていてくれたからこそ、コロナ禍でも離職が比較的少なかったのだと思います。高栁が、「オークラ」ブランドの維持・向上の取り組みに熱心だった結果、それが社員のモチベーションにつながっていると感じています。
──今後、力を入れていく取り組みをお聞かせください。
杉山 私が就任して最初に着手したのが、営業部の体制強化です。コロナ禍ということで、これまでは企業さま向けの営業をセーブしていた面があります。確かにコロナ禍1年目、2年目は、それでもよかったとは思いますが、現在は第7波とはいえ、回復に向けた光が差し込みつつある状況です。とくに売上に関して、最も利益幅があるのが企業さまの宴会になるので、そこを今一度強化しなければなりません。
コロナ禍で守りに入っていたことは事実ですが、昨年、一昨年は訪問自体がはばかられるような状況で、「攻めたくても攻められない」状況でした。しかし、今年になってそうした環境にも大きな変化が生じていますので、環境の変化に応じ、スピード感をもった行動をしていかなければなりません。今後もヘビーユーザーを大切にしていくことに変わりはありませんが、それだけに特化してしまうと、正直「ジリ貧」になってしまいます。やはり、常に新しいお客さまにアプローチし続けていかなければなりません。コロナの終息を見据えて常に先手を打っていく必要があると感じています。
(了)
【文・構成:新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:杉山 良太
所在地:福岡市博多区下川端町3-2
設 立:1996年2月
資本金:5億円
売上高:(22/3)25億5,200万円
URL:https://www.fuk.hotelokura.co.jp/
<プロフィール>
杉山 良太(すぎやま・りょうた)
1959年12月生まれ。82年3月成蹊大学法学部卒後、大成観光(株)(現・(株)ホテルオークラ)入社。2004年6月オークラフロンティアホテル海老名、オークラフロンティアホテルつくば、オークラアクトシティホテル浜松の総支配人を歴任。22年6月から現職。法人名
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